街を走るJKAの補助事業ロゴ。
「競輪とオートレースの収益が社会貢献に還元されていること」を知識としては知っていても、実際に目にする機会は少ないかもしれない。そんな中でも「福祉車両」は比較的目にする機会が多いのではないだろうか。
本記事では競輪とオートレースを統括するJKAによる補助事業のひとつ、「福祉車両」についてお伝えしてこう。
全国185ヶ所に車両整備の補助
2023年、JKAは補助事業として「福祉車両・就労支援車両等の整備」を全国185ヶ所を対象に実施し、1年で総計3億7000万円もの補助金を交付してきた。車両の買い替えはどうしても費用が嵩むため、こういった補助金はかなりの助けになるだろう。
「2023年度 公益事業振興補助事業 採択事業一覧」より福祉車両・就労支援車両等の整備の件数・交付決定額を計算
特徴は「対象車両の幅広さ」「車種指定がないこと」
こういった福祉車両の整備への補助は、他の補助団体でも行っている。ではJKAの行う補助の特徴とはなんなのか?
それは「対象車両の幅広さ、車種の指定がないこと」だ。
2023年度の広報資料を参照すると、10人を一気に乗せて運ぶことのできるハイエースもあれば、車いすのまま乗車できるようカスタムしたもの、車いす用のスロープが付いていながら、軽車両なので運転のストレスが低い車、さらには知的・発達障害のある方々がお菓子を販売するためのキッチンカーなども、交付対象として採択されている。
一言に「福祉車両」といっても、利用者それぞれの特性や困りごと、叶えていきたいこと、市街地なのか山間部なのかなどによって、必要なもの・最適なものは変わってくる。JKAの補助事業では対象車両の幅広さと車種指定がないことによって、幅広いニーズに柔軟に応えることが可能となっている。
助かるのは「利用者」だけじゃない
このような車両の導入によって向上するのは「利用者の利便性」だと思われるだろう。だが、効果はこれだけに限らない。
新しい車両、より利便性の良い車両を導入することによって、施設のスタッフの負担を軽減することができる。そうすれば労働環境が改善されるし、「これまでの状態ではキャパオーバーだったけど、これならもう少し利用者を受け入れることができるね」という話にもつながるだろう。
実際に事業者からは
「10人乗り送迎車両を導入できたことでデイサービス利用者の輸送力が向上した。 限られたスタッフによる送迎業務が無理なく提供できるようになり、従業員の身体的な負担の軽減に繋がる」
「(新たな車両を導入できたので)体の不自由な方の受け入れ範囲を広げ、その方の社会との交流、生活圏の拡大を図っていきたい」
といった声が寄せられている。
そうして受け入れが拡大すれば、これまで在宅介護をしていた家族の負担を軽減することができるし、さらに先まで話を広げれば、自分自身が「利用者」になるときの間口が広くなる、という波及効果も夢見ることができる。
参考・出典:JKA テーマ別評価『福祉車両の整備事業への補助』
高齢化社会を支える、JKAの福祉車両
高齢化はもはや止められない域にきており、力仕事を頼める若い人はどんどん少なくなる。これからの社会で大事なのは「限られた働き手で、いかにこの社会を成立させるか」だ。そんな渦中で幅広いニーズに応えられるJKAの福祉車両は、確かに「高齢化社会を支える」補助事業だと言えるだろう。
JKAの福祉車両は、大規模な競輪開催会場で展示されることもある。ぜひ実際に目にしていただきたい。