頼ることが必要
「競輪選手は個人事業主だから、全部を1人でやります。でも、もうそれは無理だなと。周りを頼るようになりましたね。僕はこう思っているんですけど、お願いできますか?みたいな事をブノワコーチや、フレームメーカー、メカニックの人にも言うようにしています。その代わりに自分は自分でコーチから言われたことをしっかりやる。そのことに集中できるようになってきました。」
期待され、それを裏切ることが出来ない、力のあるアスリートだからこそ、一人で抱え込む物が多かったのかもしれない。しかし1段階レベルアップした脇本は周りの人たちとの関係性が重要なのだと気がついた。まるでロードレースの、1人はエースのために、そしてエースは皆のために。そういった感情なのだろうか。
結果が出ることで、ようやく気がついた
周りに頼って、そして自分は自分のことをやることで、結果へと繋がるんです。自分1人でレースのことを考えても結論は出ません。だからレースを撮る人、分析する人、様々な人に頼れるようになりました。それで結果が出ているので、今年に入ってからは上手くいっています。去年金メダルを獲った時には、このような考えはありませんでした。でもよくよく考えたら、思い返してみたらそういうことだったんです。今までは考えずに走っていて、それで結果が出ると思っていたんです。だから思い返しっていうのは大事だなと思いましたし、自分は周りに活かされているということがやっと分かってきました。
競輪選手は個人事業。それが全てを物語っていたのかもしれない。その延長線上に競技があった過去とは違い、今はチームの一員として自らを見つめ、チームとして走る。そうして強くなっていっているのかもしれない。小さな気付きはやがて大きな結果へと繋がる。それを体現する脇本雄太の活躍は、これから東京オリンピックへ向け、更に顕著な物となるだろう。一体どこまで行くのか?行けるのか?その活躍から目が離せない。
Text : Mizuki Ida