そうじゃないとBestにはなれない

橋本英也:じゃあテオが思うに、僕がもっと日本の競輪で活躍するには?

テオ・ボス:でも君はマディソンとか、オムニアムも頑張っていきたいんだろ?そしたらオールラウンドにやっていくことになっちゃうよね。本当に強い競輪のS級の選手になりたいのであれば、競輪にシフトしていくしかないと思う。そうじゃないとGood(良い)にはなれるけど、Best(最高)にはなれないよ。だから僕もロードからトラックに戻った時にはロードの練習は辞めたし。でも英也を見ているのはとても興味深いよ。中距離でも結果を残していて、スプリントでも強い。これから両方もっと強くなれると思うけど、やっぱりさっき言ったように、Bestを目指すなら、道は絞らないと難しいと思う。というか、そもそも英也は何で競輪やっているの?

橋本英也:面白いからだよ(笑)日本の伝統文化を理解できるし。

テオ・ボス:そうだよね。僕も英也みたいに日本の競輪が出来ればと思ってるよ。僕は中距離選手として競輪に臨んでいるわけじゃないし、外国人だし、少し立場が違うよね。で、英也は東京五輪でオムニアム?マディソン?どっちでメダルを狙ってるの?

橋本英也:どちらか。可能性がある方かな。

テオ・ボス:だから面白いよね。競輪で鍛えられたスプリント力はマディソンとかでも活かせるし。でも英也、中・長距離で活躍したいなら、夏にトレーニングへ励まないとダメだよ。まずはパワーが出るエンジンを大きくすること。それはロードの練習じゃないとできないからね。だから、まずは専門的なロードのプログラムが必要だね。200kmを超えるステージレースに出るというのは良い手かもしれない。グランツールみたいなね。夏にそのような形で乗り込んで、冬にトラック競技に向けた練習をすると良いんじゃないかな。

橋本英也:因みにテオはもし日本人に生まれたとして、競輪選手になるか、ロード選手になるか、選べるとしたら、どっちを選ぶ?

テオ・ボス:競輪だよ!

橋本英也:なぜ?

テオ・ボス:だって自転車選手として最高じゃん!(笑)あと、やっぱり僕は競輪が得意だし!でもロードも好きだよ。小さいころに始めたのはロードからだったし、トラックを始めてもロードの事が忘れられなくて戻った位だから。

でもやっぱり選手キャリアの終わりはトラック競技にしたかったんだ。結果として両方やるってのは良いことだったよ!そうでなければ、いつも「ロードの大きな大会で走ることはどうなんだろう?」とか思っていたかもしれないし。パリ~ルーベで走ったらどうなのか?とかね。走ってみないと分からないけど、走ってみて良かったよ!パリ~ルーベは3回走ったからね!

筆者:!!!マジかい!!

テオ・ボス:うん。チームのスプリンターとして出たんだけど、最高成績は56位、カンチェラーラから15分遅れだった。カンチェラーラがめちゃくちゃ強かった時期さ。石畳も最高だったね。その時に僕らのチームが集団内で唯一カーボンホイールのバイクを使っていたんだ。他の選手たちは皆アルミホイールだった。だからとても有利だったはずなのに、負けちゃった(笑)良い経験になったよ。

橋本英也はオランダ向き