2025年3月7日、静岡県にある「日本競輪選手養成所」の卒業式が挙行された。
候補生たちは約10ヶ月間に及ぶ訓練を終え、5月からのルーキーシリーズでデビューを飾る予定となっている。
この記事では、卒業式の模様とあわせ、卒業式を終えてのインタビューの模様をお届けする。
式辞:瀧澤正光所長
本日をもって、候補生という立場から、プロ選手という次のステージへと歩みを進めていきます。日々の努力を惜しまず、鍛錬を積み重ねてください。同時に、ルールを守り、ルールに従う、正義感の強い選手になってください。
私が一環して伝えてきたのは、自分の可能性を信じ、どんな些細な努力も惜しまず全身全霊を注いでほしい、ということです。
私も現役時代、流した汗が多いものが勝つということを信じ、練習して強くなることは競輪という競技の心理だと思って参りました。とはいえ、努力しても思うように結果が出ないこともあります。そんな時は、「努力の報酬は成功ではなく、自己成長である」と考えてみてください。
結果が出なくとも、誰よりも早く起きて、誰よりも遅くまで練習した努力は、大きな自信につながると思います。夢や目標を見失わない確固たる自信となり、その自己成長がいずれ、成功へと導いてくれます。成功は成長の先に待っていることを信じ、努力は報われるという信念のもと、それぞれの夢や目標を達成することを祈念いたします。
答辞:第127回生自治会長 中田拓也
プロスポーツ選手として、これから先は、今以上に厳しく険しい世界のなかで戦っていくことになります。楽しいことばかりではなく、辛く苦しいこともたくさんあると思います。そんな時こそ、仲間たちとともに乗り越えてきた日々や、先生方の重みのある熱いお言葉を思い返し、堅実に、一歩ずつ、前進して参ります。
今後も、この素晴らしい学舎の門をくぐった時の初心を忘れず、謙虚さと、向上心を常に抱き、競輪界を牽引する立派な選手となることを誓います。
答辞:第128回生自治会長 髙﨑千賀
競輪選手になるため、どのような状況であっても、ゴールまで諦めず、一本一本全力を尽くす大切さを教えていただきました。
これから歩いていく競輪選手という道には、多くの苦難や逆境が待ち構えていると思います。そのひとつひとつに真摯に向き合い、たゆまぬ努力とまっすぐな信念を持ち続け、各々の夢に向かって挑戦しつづけていきます。
たくさんの方々に、感動や喜びを届けられる選手になり、一人の人間としても大きく成長していけるよう、精進していきます。
第127・128回 候補生表彰
優秀な成績を修めた候補生に対しては、以下の各賞が授与された。なお、記録会の成績に応じて与えられる報奨金賞に関しては、127回生62人、128回生10人の計72人に与えられた。
ゴールデンキャップ賞
記録会において、ゴールデンキャップ(帽色「金」)を獲得した者
椎名俊介(茨城)
下山聖斗(鹿児島)
岩原健馬(愛知)
杉浦颯太(北海道)
三浦生誠(岩手)
上杉有弘(福井)
野中龍之介(神奈川)
藤田楓(岡山)
丸山留依(静岡)
大塚城(静岡)
土井慎二(岡山)
邊見竜馬(福島)
西森一稀(兵庫)
馬越裕之(奈良)
三神遼矢(福島)
長野魅切(愛媛)
岩辺陸(静岡)
木村優駿(埼玉)
野津宏介(福岡)
三澤優樹(福島)
新垣慶晃(沖縄)
猿樂楓樹(岡山)
安達光伸(岐阜)
𠮷岡優太(茨城)
水澤秀哉(千葉)
尾野翔一(福岡)
諸隈健太郎(高知)
半田水晶(茨城)
酒井亜樹(大阪)
最優秀学業賞
学業の成績が最も優秀だった者
大本隆也(神奈川)
半田水晶(茨城)
最優秀技能賞
尾野翔一(福岡)
酒井亜樹(大阪)
新記録賞
第3回記録会・500mTTにて養成所新記録(35秒93)を樹立
酒井亜樹(大阪)
功労賞
中田拓也(広島)
髙﨑千賀(神奈川)
五輪拓巳(東京)
半田水晶(茨城)
国際賞
在所中に国際大会で活躍し、選手候補生の模範とするに足ると認めたため
三浦生誠(岩手)
丸山留依(静岡)
酒井亜樹(大阪)
恒例の“あの儀式” 行くぞ、競輪界!
先日の卒業記念レースはあいにくの天候となったが、この日は候補生たちの門出を祝うような快晴。
澄み切った空気と青空のもと、式典を終えた候補生たちによるおなじみの“帽子投げ”が晴れやかに行われた。
各回生の自治会長が中心となり行われるこの儀式。
女子は高崎候補生による「はっきり言って、128回生最高ーーー!」という掛け声で華やかに青空へ帽子を。
男子の掛け声を担当したのは、自治会長でありムードメイカーとしても愛された中田候補生。コールアンドレスポンス方式での名スピーチを、以下に紹介する。
「競輪に対する情熱!人間としての素直さ!根拠のない自信! それを携えて、行くぞ、競輪界!!」
“規格外の世代”のデビューは5月から
早期卒業生の誕生、ゴールデンキャップ獲得者数、期別平均記録の更新、養成所新記録の樹立など、歴史に名を刻んできた第127・128回生。
5月のルーキーシリーズを皮切りに競輪選手としてデビューすることとなる。
なお、ルーキーシリーズ各開催の優勝者や競走成績上位者は、8月に宇都宮競輪場(ガールズオールスター内)で実施される「ルーキーシリーズプラス」に出場することができる。
ルーキーシリーズ
5月2日〜4日 | 熊本 |
5月9日〜11日 | 別府 |
5月16日〜18日 | いわき平ナイター |
5月23日〜25日 | 四日市ナイター |
6月4日〜6日 | 玉野ミッドナイト |
ルーキーシリーズプラス
8月8日〜10日 | 宇都宮ナイター |
今後どのような道のりを歩んでいくのか。
今から楽しみでならない。