ガールズグランプリとは、毎年12月29日に開催されるガールズケイリン最高峰のレース。その1年をトップで駆け抜けた、選ばれし7選手にしか出場が許されないレースだ。高級車レクサスが副賞として贈られるこの豪華な「一発勝負」について解説していく。

ガールズグランプリとは?

毎年12月29日に開催される、競輪界で一番大きなレース。グレードは「GP」。「GGP(ガールズGP)」と省略表記されることもある。

初開催は2012年で、初代優勝者は小林莉子。ガールズケイリンがスタートしたのと同じ年に初開催され、以降ガールズケイリンの成長とともに開催数を重ねてきた。10年の節目を迎えた2023開催で、初めて「GP」のグレードとなった(それ以前はF2グレード)。

レースを走るのはその年をトップで駆け抜けた7選手のみ。勝ち上がり戦などのない、一発勝負として行われる。優勝賞金は徐々にアップしており、2024開催は800万円。ただし例年複勝として高級車レクサスが贈られており、これを含めると約1400万円となる。

石井寛子, ガールズグランプリ2024, 静岡競輪場

出場選手の選出方法

ガールズグランプリへの出場選手は、主に2つの方法で決定される。

1)年に4つあるG1で優勝すること
2)年間獲得賞金ランキングで上位に入ること

まずG1優勝者が出場枠を獲得し、残りの枠を賞金ランキング上位者が得ることとなる。

なお自転車トラック競技の世界選手権優勝者や、オリンピックでの優勝者に出場権が与えられることもある。

ガールズケイリンの4つの「G1」

ガールズケイリンのG1は2023年にまず3つが新設された。2025年にさらにもう1つが新設され、合計4つのG1が行われる。それぞれ特色のある「ガールズG1」を1つずつ見ていこう。

【4月】オールガールズクラシック

「ガールズケイリンで最も格式高いレース」

児玉碧衣, 決勝, 表彰式, オールガールズクラシック(G1), 久留米競輪場

2023年より新設されたガールズケイリンのG1レース。初開催となる2023年は10月に行われたが、2024年からは4月の終わり(ゴールデンウィークの前半ごろ)に開催されている。

この開催は男子と合同ではなく、女子のみでの実施。獲得賞金上位者を基本とした42人が出場するレースに加え、あっせんによるガールズ選手のレースも同時開催する。「カールズケイリンにおいて最も格式高いレース」として位置付けられている。

なおこの開催からバトンタッチするように、男子の5月のG1である『日本選手権競輪(競輪ダービー)』が開催される。

【6月】パールカップ

「唯一の東西別トーナメント」

石井貴子, 表彰式, パールカップ(G1), 岸和田競輪場

2023年より新設されたガールズケイリンのG1レース。男子のG1である高松宮記念杯と同日程(前半3日間)で開催され、東西別の勝ち上がりで優勝を争うトーナメント制。6月の誕生石であるパール(真珠)が名称の由来。

【8月】女子オールスター競輪

「ファン投票で出場選手が決定」

これまで男子のオールスター競輪は例年8月に実施され、この中で女子の特別レースとして『アルテミス賞レース』『ガールズドリームレース』が実施されていた。2025年が初開催となるG1レースの『女子オールスター競輪』は男子のオールスター競輪とは別日程で開催されるものの、選手の選出方法はこれまでの『ガールズドリームレース』等と同じくファン投票上位者を中心としている。

なお2025開催ではデビューしたばかりの選手による『競輪ルーキーシリーズ(新人戦)』のアディショナルステージ、『ルーキーシリーズプラス2025』も同時開催予定。

【11月】競輪祭女子王座戦

「グランプリ出場のラストチャンス」

佐藤水菜, 競輪祭女子王座戦 決勝, 小倉競輪場

2023年より新設されたガールズケイリンのG1レース。男子のG1レース『競輪祭』の前半3日間で開催。単発競走を除く決勝1〜3位回数上位者を基本とした28人が選抜される。

『競輪祭』が過去に『競輪王決定戦』と称されたこと、『競輪祭新人王戦』が実施されてきた歴史を踏まえて名称が決定した。

ガールズグランプリ優勝者の「特権」

男子の最高峰レース『KEIRINグランプリ』には
・出場した人が翌年のS級S班になる
・S級S班だけが身につける特別ユニフォーム(赤パン)がある
・グランプリで優勝した選手は、翌年1年間すべてのレースで1番車となる
といった特権がある。

一方でガールズグランプリには、そのような「目に見える、わかりやすい特権」はないのだが、実は「ガールズグランプリで3位以内になった選手は、翌年のすべてのG1への出場権を得られる」という規約がある。

これは男子にはなく、女子にのみある制度。ガールズグランプリで上位に入った選手は、翌年も優位な立場で1年を戦い抜くことができる。

男子よりもレース数・賞金額が少ないガールズケイリンの世界では、1戦を逃しただけであっさりと賞金ランキングの順位が変わってしまう。シビアに賞金額を積み重ねなければいけないガールズケイリンのトップ選手たちにとって、この「特権」はかなり助けになるものだと言えるだろう。

女子アスリートの最高峰ガチバトル

2012年に初開催され、2023年に初めて「GP」グレードとなったガールズグランプリ。男子の『KEIRINグランプリ(競輪グランプリ)』に比べればまだまだ歴史が浅いが、その分日進月歩の進化が見られるという楽しみもある。例えば、現状は級班分けがされていないガールズケイリンに級班が導入されたり、男子のS級S班の証「赤パン」のような「強い人だけの特別ユニフォーム」が導入される日も来るかもしれない。

選手数も少しずつ増え、まだまだ発展を見せるガールズケイリン。『ガールズグランプリ』を入り口に、この「女子アスリートの戦いの世界」を一緒に楽しんでいただけたら幸いだ。

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