2026年3月12日〜15日、新設G3開催となる『ワールドサイクリスト支援競輪』が茨城県・取手競輪場で開催される。
これは「自転車トラック競技で国際大会での活躍を目指す競輪選手の育成・強化に関する事業の実施等を目的」と銘打たれた開催で、G3グレードのレースが自転車トラック競技の支援開催となるのは2021年ぶり。
この記事では「トラック競技でオリンピックを目指す選手たち」を応援する、競輪開催の歴史を紐解いていく。
直近で行われているのはFグレードの支援競輪
近年さかんに行われている『HPCJC支援競輪』。収益の一部が、自転車トラック競技ナショナルチームを下支えする組織「HPCJC」の支援に充てられる開催だ。
開催中の競輪場内では自転車トラック競技をPRする展示が行われていたり、ナショナルチームの選手からのビデオレターが場内で放送されたりと、競技の認知度アップにも寄与している。
開催回数も多く、全国各地の競輪場で行われているが、いずれもFグレードの開催。「平開催」とも呼ばれる日常的な開催のため、爆発的な集客・収益を望むのは難しい部分があった。
かつてはG3開催があったが……
とは言うものの、かつては『国際自転車トラック競技支援競輪』という名のG3開催があった。この開催も趣旨としては「収益の一部をトラック競技の支援に」というもので、ナショナルチームの活動のために大きな役割を果たす開催だった。
しかしこれは2021年6月……東京オリンピックを目前とした時期での開催を最後とし、以降は実施されていない。東京オリンピックからパリオリンピックまでの期間は、各地で行われるHPCJC支援開催のおかげで乗り切ることができたとも言える。
HPCJC支援開催はwin-winの関係
またHPCJC支援開催は2022年時点の調査で「通常のF1より2億円稼ぐ開催」であることがわかっている。コンセプトがしっかりしている開催は、平開催といえどもPR力が高い。競輪場・施行者側にも利のある、win-winの関係の開催だった。
全国各地の競輪ファン、トラック競技ファンのおかげでパリオリンピックを乗り切ることができ、オリンピックではメダルを獲得できなかったものの、その2ヶ月後の世界選手権では世界チャンピオンが3人生まれるという快挙を成し遂げた。
長い時間をかけて醸成してきた「競輪を楽しみ、競技を応援」の機運が、ようやく花開きつつあるのだ。
ここでまた、改めてG3開催
そんな流れの中で発表された、2026年3月の『ワールドサイクリスト支援競輪』。
5年の時を経て再度行われるトラック競技支援のG3開催ということで、HPCJC支援開催で繋いできた炎に一気に燃料を投下するような効果を期待してしまう。これは収益の面の話だけではなく、「応援者の増加」という面も含みたい。
より多くの人がトラック競技を認知し、応援することで、若い選手の参入や競技の魅力アップにつながる。そして、将来的な「国際舞台での大活躍」につながっていくだろう。
というわけで、まだまだ先の開催ではあるが、2026年の『ワールドサイクリスト支援競輪』を楽しみにしていただければ幸いだ。なお2026年夏には4年に1度のアジア競技大会が名古屋を中心にされ、ここでも日本選手の活躍が期待される。