競輪の情報を追っていると度々目にする「特別昇級」「特別昇班」、あるいはそれらを略した「特昇」という言葉。この記事では「特昇ってナニ?」の疑問を解決していく。

「特別昇級」「特別昇班」とは?

ざっくり言うと「特に成績の良い選手を、シーズン終わりを待たずにランクをジャンプアップさせちゃう制度」のこと。詳しく説明していこう。

上記の図のように競輪選手にはランクがあり、2つの級(S級・A級)をさらに班で分け(S級S班〜A級3班)、6つの級班で区分される。新人の選手はA級3班からスタートだ。

級班を上げていく「普通のルート」は期ごとの級班の入れ替え。前期は1〜6月、後期は7〜12月で、例年4月と10月にそれまでの成績に応じた「次の期の級班」が発表される。

「特別昇級」「特別昇班」はその「年2回」を待たずにランクを上げる、実力者のための制度。

「特別昇級」「特別昇班」をするためには主に2つの方法がある。

・完全優勝(開催中全レース1着での優勝)を連続3回すること
・レインボーカップに出走し、1着から3着となること

完全優勝での特別昇級・特別昇班とは?

A級の選手たちが出場するのはFグレード。基本的に3日間で行われている。3開催連続で完全優勝(9回連続1着)すれば特別昇班・昇級が可能となっている。

なおA級3班から2班に特別昇班し、そのままさらに3開催連続で完全優勝(合計18回連続1着)ができればS級へ特別昇級できる。近年の例ではナショナルチームでも活躍する中野慎詞がデビュー以降無傷で18連勝し、一気にS級に上がっている。

121期早期卒業の中野慎詞がS級特別昇級 無傷の18連勝

レインボーカップとは?

レインボーカップは、期の終わりに単発で行われる特別なレース。これに出られるのはA級1・2班の上位9選手と、A級3班の上位9選手のみとなっており、選ばれた選手たちによって特別昇級・特別昇班をかけた戦いが行われる。

出場できる選手は期初めの3ヶ月(前期1~3月、後期7~9月)の成績が上位の選手たち。レインボーカップは期の終わり(前期6月、後期12月)に行われ、この競走で1着~3着に入れば上位級班に特別昇級(特別昇班)できる。

なおレインボーカップは「A級1・2班」戦と「A級3班」戦に分かれて実施される。

JKA「レインボーカップとは

オリンピック&世界選手権の結果で特昇することも

さらにかなり例が少ないが、

「オリンピック競技大会及び世界選手権自転車競技大会の自転車競技トラック種目において3位までに入賞したとき」

にも、特別昇級(特別昇班)が行われることになっている。

この直近の例が、2022年の世界選手権で銀メダルを獲得した窪木一茂だ。

窪木一茂、世界選手権銀メダルでS級2班に特別昇級

当時A級2班だった窪木一茂は、世界選手権スクラッチ種目で銀メダルを獲得したことでS級2班に特別昇級。これによってG1レースなどにも出走できるようになった。

競輪に係る業務の方法に関する規程(PDF)

「特別昇級」「特別昇班」

なお細かい用語の部分の話となるが、

「特別昇級」はA級1・2班の選手がS級に「級が上がる」こと
「特別昇班」はA級3班の選手がA級2班に「班が上がる」こと

となる。頑張った人を認めるための競輪の制度は、このように運用されている。