脇本雄太の初優勝で幕を閉じた『KEIRINグランプリ2022』。2020東京オリンピック後にナショナルチームから離れ、競輪に集中している脇本が優勝したことは、ナショナルチームにとっても大きな出来事になった。

脇本雄太が爆走 4度目の挑戦で遂に競輪界のトップへ/KEIRINグランプリ2022

このグランプリシリーズではトラックナショナルチームのテクニカルディレクター(TD)ブノワ・べトゥ氏がグランプリに出場した4人へのインタビューを行ってきた。

ブノワ氏、そしてグランプリ当日にレースを観にきていたトラックナショナルチーム短距離ヘッドコーチのジェイソン・ニブレット氏の視点で年末のビッグレースを締めくくってもらう。

ブノワ・べトゥ氏、ジェイソン・ニブレット氏が感じたレースの内容をお伝えする。

シンプルに強かった脇本雄太

Q:まず率直な感想をお願いします。

ブノワ:脇本選手はとても強かったです。戦術などではなく、単純に強かった。彼のレースに対する想いがそうさせたのだと思います。タイトルを得るに相応しい人物です。今日のメンタリティーはオリンピックの経験が活かせたのではないでしょうか。5年間ナショナルチームに居たことは今日のレース、今日の環境に役だったと思います。

ジェイソン:今日のレースでは、脇本が、なぜ世界で活躍出来ていたのかを証明するかのようなレースでした。そしてとてもリッチになりましたね(笑)

レース自体が今日はとても興味深いものでした。松浦(悠士)選手を新田(祐大)選手が2番手に入れたところから始まって、正直ビックリしましたね。何が起こっているのか、理解できませんでした。

松浦悠士

Q:脇本選手は8番手でスタート、そして同じ位置から仕掛けましたが、その点については?

ジェイソン:仕掛けどころからの話になりますが、まだ距離がある中でレースのスピードは上がっていましたし、脇本選手が仕掛けた時には「届かないかもしれない」と心配になりました。

結果的に勝ったので、仕掛けるタイミングも良かったのだと言えるかもしれませんが、私から見ると正しいタイミングでの仕掛けとは思えませんでした。でも力でねじ伏せた形ですね。彼の能力の高さを現わしていました。

そして去年の覇者の古性(優作)選手が脇本選手を最後に追い抜けなかったことも、脇本選手の強さを示していると思います。

ブノワ:同じくです。8番手から、グランプリのレベルで前に出ていくのは難しいと思っていました。でも脇本選手は強かったですね。

一点挙げるとするならば、集団から脇本選手に対しての気が逸れた時間がありました。最終周回に入り、松浦選手と守澤(太志)選手が位置取り争いをしていた時です。脇本選手はその前から仕掛けていましたが、前が絡んでくれていたお陰で邪魔されることなく駆け抜けていけました。ただ、それも脇本選手が強かったからできたことです。

覚悟を決めて走る それが勝利の秘訣

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