バンクレコード
バンクレコードとは、各競輪場の「上がりタイム」の最高記録のこと。
上がりタイムとは、レース最終周の最後の半周のタイムのことだ。
全国に計43場ある競輪場は1周の長さが異なっていたり、タイムに影響を及ぼしやすい風の入り具合などが異なるため、各競輪場ではそれぞれバンクレコードを記録している。
2022年では、2つのバンクレコードが更新された。
佐世保競輪場(1周400m)「10.6秒」
中川誠一郎
1つ目は中川誠一郎(熊本・85期)が7月24日に更新したバンクレコード。
佐世保競輪場で開催された「九十九島賞争奪戦(G3)」に出場した中川は、2日目第8Rにてラスト1周を後方7番手からスタート。バンクの傾斜を利用して徐々にスピードを上げ、ちょうど残り半周地点で先頭に躍り出た中川は、そのまま後続との差を広げながらフィニッシュ。2着と2車身をつける快勝で「10.6秒」の新バンクレコードを打ち出した。
そして佐世保競輪場の前バンクレコード保持者は中川本人。2022年1月8日に「10.7」の新記録を塗り替えたばかりだったのだ。前々記録は1999年に竹内久人(引退)が記録した「10.8」。20年以上も破られなかった記録を1年に2回も更新した。
過去にはトラック競技1kmTTの日本記録も保持していた中川。今後も何かの新記録を打ち出してくれるかもしれない。
上がりタイム | 記録日 | |
中川誠一郎 (熊本・85期) |
10秒6 | 2022年7月24日 |
10秒7 | 2022年1月8日 | |
竹内久人 (岐阜・37期) |
10秒8 | 1999年9月12日 |
参照:2021年版競輪年間記録集, 2020年版
奈良競輪場(1周333m)「8.9秒」
太田海也
2022年に更新された2つ目のバンクレコードが、日本トラック競技ナショナルチームにも所属する太田海也(岡山・121期)によるもの。
8月15日から奈良競輪場にて開催された「西日本カップ秋篠賞(F1)」の2日目第4R(7車立て)に出走した太田。後方6番手から一気に加速し最終周回に突入すると、残り半周地点で先行していた6人を抜き去りどんどん差を広げていく。
最終ストレートに入り1着をほぼ確実なものとするも、最後までもがき続けた太田は2着と9車身差をつけ勝利。30年前に更新された「9.0秒」を塗り替え、新たなバンクレコードホルダーとなった。
上がりタイム | 記録日 | |
太田海也 (岡山・121期) |
8秒9 | 2022年8月16日 |
平石光弘 (栃木・37期) |
9秒0 | 1992年5月22日 |
太田海也が30年ぶりにバンクレコードを更新!特別昇級にも王手/『西日本カップ秋篠賞(F1)』8月15日〜17日 奈良競輪場
番外編
自転車で時速112.47km
番外編でご紹介するのは、トラック短距離選手として活躍していたフランソワ・ペルビスによる最速記録。フランソワ・ペルビスは1kmTTの現世界記録保持者であり、短期登録選手として日本の競輪にも出走し、バンクレコードも複数保持しているフランス人選手。
2022年9月、「リカンベントバイク」というロケットのような流線型のカバーに覆われた自転車に乗り、「World Human Powered Speed Challenge」という大会に出場。その名の通り、”人力”による最高速度を競う大会だ。
フランソワ・ペルビスは4km区間(2.5mile)を走行した際の最速速度を計測する部門に出走し、「時速112.47km」を記録。これが1992年以来の新記録となった。
自転車の枠を超え”人力最速”の称号を手にしたフランソワ・ペルビスだったが、実は当初より最高目標に掲げていた8km部門での「時速145km」超えに本大会で挑戦しようとしたところ、思わぬアクシデントに見舞われてしまい未達成に終わってしまっていた。
重体は免れたものの怪我を負ったフランソワ・ペルビス。しかしアクシデントから約1ヶ月後の10月中旬には、2023年に「時速145km」へもう一度挑戦することを自身のSNSで発表した。
トラック競技でも競輪でもトップレベルの結果を残しているフランソワ・ペルビス。彼が目指す新記録にも要注目だ。
フランソワ・ペルビスが前人未到の最速記録へ再挑戦/「World Human Powered Speed Challenge」