日本新記録
次に2022年に誕生した日本新記録を振り返っていく。2022年ではエリートに加え、世界レベルで活躍したジュニア選手からも、新たな日本記録が誕生した。
2024パリオリンピック、そしてその後の日本トラック競技の発展を期待させる記録たちだ。
男子エリート
1kmTT「59秒796」
『2022世界選手権トラック』の予選にて小原佑太が樹立した日本新記録。前記録は競輪選手でもある中川誠一郎が2013年に打ち出した「1分00秒017」。日本人史上初の1分切りを達成し、9年ぶりの新記録更新を果たした。
1度走るだけでも激痛を伴う1kmTT。予選を5位で通過した小原だったが、続く決勝では1分の壁にわずかに届かず6位。しかし前年の世界選手権から順位とタイムの双方で向上し、自身の成長を証明してみせた。
選手名 | 記録 | 実施日 | 大会 | |
新記録 | 小原佑太 | 59秒796 | 2022年10月14日 | 2022世界選手権トラック |
前記録 | 中川誠一郎 | 1分00秒017 | 2013年12月7日 | 2013-2014トラックワールドカップ第2戦 |
個人パシュート(4km)「4分10秒521」
『2022世界選手権トラック』にて松田祥位が打ち出した記録。8月の「2022全日本選手権トラック」にて窪木一茂が2度も更新した日本記録を約3秒上回り、日本新記録樹立となった。
本大会で世界選手権デビューを果たした松田だったが、日本新記録で走り抜けた予選では10位となり決勝進出には至らなかった。なお予選にて対戦したフィリポ・ガンナは、決勝で世界新記録を樹立し優勝を飾っている。
選手名 | 記録 | 実施日 | 大会 | |
新記録 | 松田祥位 | 4分10秒521 | 2022年10月14日 | 2022世界選手権トラック |
前記録 | 窪木一茂 | 4分13秒297 | 2022年8月29日 | 2022全日本選手権トラック |
女子エリート
チームスプリント(750m)「48秒074」
『2022世界選手権トラック』で太田りゆ、佐藤水菜、梅川風子によって打ち出された日本新記録。前年大会で記録した「48秒612」から約0.6秒を縮めての更新となった。
女子チームスプリントの強化を今後も継続していく条件として、本大会で8位以内に入ることが課せられていた3人。
「3人制女子チームスプリント」世界はどこまで進化している?/『2022世界選手権トラック』10月12日〜16日 フランス開催
自らの最速タイムを上回り結果は7位。メダルには届かなかったものの、次に繋がる走りを見せた。
選手名 | 記録 | 実施日 | 大会 | |
新記録 | 太田りゆ 佐藤水菜 梅川風子 |
48秒074 | 2022年10月12日 | 2022世界選手権トラック |
前記録 | 48秒612 | 2021年10月20日 | 2021世界選手権トラック |
男子ジュニア
200mFTT「10秒171」
7月に伊豆ベロドロームで開催された国際大会「ジャパントラックカップ」。「I」と「II」の2大会が連続で実施され、「I」の男子スプリントに出場した中石湊(2004年生まれ)が予選の200mFTTにて「10秒171」を記録。男子ジュニアの日本新記録樹立となった。
なお本大会では2022年よりジュニア短距離アドバイザーに就任した新田祐大が、中石をワンツーマンでサポートしていた。「こんな良い機会はそうそうない」と語った中石は、大会1ヶ月後(8月)に出場した『2022ジュニア世界選手権』の1kmTTにて、見事銅メダルを獲得。2023年からのエリートデビューに向け、より期待させる走りを見せた。
日本チームがメダル3枚を獲得!世界で存在感を示した次世代選手たち/『UCI 2022ジュニア世界選手権トラック』イスラエル・テルアビブ
個人パシュート(3km)「3分18秒419」
8月に開催された『2022全日本選手権トラックジュニア』で、日本トラック競技ナショナルチームのジュニア強化指定選手にも選抜されている梅澤幹太(2004年生まれ)が記録したタイム。予選で「3分18秒419」を出し、決勝でも好タイムを記録するも三宅太生にわずかに上回られ、銀メダルで大会を終えた梅澤。
「日本新+優勝」とはならなかったが、2023年からのエリートデビューに期待を持たせる走りを見せた。
女子ジュニア
個人パシュート(2km)「2分23秒685」
6月に開催された『2022アジア選手権トラック』では、エリートとジュニアの2カテゴリーを同時に実施。本大会(ジュニア)に出場した池田瑞紀は個人パシュートの予選にて女子ジュニア日本新記録を樹立。
予選を1位で通過し、続く決勝でも2位と6秒差をつける「2分24秒255」の好タイムを出し優勝。アジアチャンピオンの称号を獲得した。
チームパシュート(4km)「4分33秒585」
8月に開催された『ジュニア2022世界選手権トラック』。女子チームパシュートへは垣田真穂、水谷彩奈、池田瑞紀、岡本美咲がアジア唯一のエントリーとして参戦。予選を2位のタイムで通過し、続く準々決勝ではさらにタイムを縮め「4分33秒585」を記録。これが女子ジュニア日本新記録となった。大会結果は惜しくも4位となったが、今後の活躍を大いに期待させるレースを見せた。
日本チームがメダル3枚を獲得!世界で存在感を示した次世代選手たち/『UCI 2022ジュニア世界選手権トラック』イスラエル・テルアビブ