一生青春じゃないですか?

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競輪が持つ魅力

期待のルーキー太田海也がデビューから9連勝、特別昇班を達成

一度挫折し社会人を経験した。だからこそ競輪選手として、人生としてスポーツをして生きていくことに価値を感じた。

もちろん現在22歳(※2022年5月時点)という若さも、今持っている考え方の理由の一つでもあるだろうが、競輪選手という職業が持つ魅力に気づいてしまった。

「やる側としては、ずっとワクワク、ヒリヒリ感を味わえるというか……もちろん良いことばかりではないですが、魅力的です。

まだまだ関わってから日が浅くて、間違ったことを言っているかもしれませんが、対“人”というところでの相手の戦略とか、そこには今までのバックグラウンドやズル賢さ等、面白み、深みが多いのが競輪だと思います。それにオリンピックだって目指すことも出来ます。

期待のルーキー太田海也がデビューから9連勝、特別昇班を達成

様々な競技でたくさんの選手たちの多種多様な挫折の仕方があると思います。僕の周りの多くは『これをしていても将来食べていけない』と、金銭面で悩む人がたくさんいました。

競輪に来たからといって全員が成功出来るわけではありませんし、成功出来る人の方が少ないんだと思います。でも不完全燃焼な人たちには、競輪に是非挑戦してもらいたいです」

ボートだからこそ

太田海也

筋肉質な身体、見るからに太い腿。絵に描いたスポーツ選手のような太田選手。バックグラウンドにあるボート競技で培ったこの肉体が競輪にも役立っている。ただ、メリットもあるが、そこには意外なデメリットもあった。

「ボートは脚力と背中を使い、割り振りは7割が足、3割が背中といった形です。体育座りの体制になってから脚でボートを押してオールを引っ張ります。自転車とは刺激される筋肉が似ていますが、ボートから自転車に筋肉を慣らすというか、転換する時は時間が掛かりました。それでも元々発達させていた筋肉なので、練習によって移行できたかなと思います。

しかしながら、ボートは時間にして7分程度と競輪や自転車競技と比べて競技時間が長いので、短時間で全力を出そうとすると、無意識に自分に対してリミッターをかけてしまうこともありました。頭の中でボートの『7分間』を考えてしまうわけです。

期待のルーキー太田海也がデビューから9連勝、特別昇班を達成

競輪は一気にパワーを爆発させるような走りが必要になるので、今は少しずつ、短時間で追い込むことに慣れていっている途中です。短時間で“出し切る”という作業を頭で理解していても、身体には反復練習で理解させるしかありません」

気づかせてくれた恩師

期待のルーキー太田海也がデビューから9連勝、特別昇班を達成

競輪の魅力、ボートから転向したからこそ分かる筋肉の転用性など分かり易く説明してくれた太田選手。

ただし、こういったことに気づく能力、考える能力は多くの人に備わっているものではない。人生経験の豊富さを思わせる言動、客観的な物事の捉え方、それらは高校時代の恩師から教わったことだ。

太田選手にとっての人生の大きな転換期は高校時代に訪れていた。

「もともと様々なスポーツをしていたのですが、1つのことを続けられず、少し成績が出たらやめてしまうような子供でした。でも高校の時のボートの先生が熱血教師で、人生で初めて本気で部活に取り組めたんです。『何でそうなるの?』と疑問形で聞いてきてくれて、自分で考えさせられることが多かったのですが、その分悩む時間も多くて……

結果的に競技を通して自分と向き合うことが多くなり『なんで緊張するんだろう』とか『なんで勝ちたいって思うんだろう』と、自分をどんどん掘り下げていくようになったのが高校1,2年の時でした。それが本当に良い経験でした。

それまで自分と向き合ったことが無かったからこそ、ボート競技を始めたからこそ、自分を客観的に見られるようになりました。競輪選手としてというか、今の自分の生き方の基本になっています」

競輪では日本一、自転車競技では世界一を目指す

「競輪では、GⅠで活躍する選手に、自転車競技では“世界で勝てる選手”になりたいです」

きらきら輝く笑顔で目標を語ってくれた太田選手の“第2の青春”はまだまだ始まったばかりだ。

こんなスポーツ、他にないだろ?

「走り続けるアスリート篇」30秒

 

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