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ドラフティングの恩恵
「ドラフティング」とは、前走者の後ろにつくことで空気抵抗を減らすこと。日本の競輪で言うところの「番手につく」ことであり、この空気抵抗を減らせるエリアのことを「スリップストリーム」とも呼ぶ。
ホイールメーカーのスイスサイドによると、前走者の後輪から10cm離れた位置に時速45kmで走行した際、本来ならその速度に達するのに250ワットが必要なところを、160ワットで行うことができる。つまり90ワット、パーセントで言えば39.5%のエネルギーを節約することが出来るとしている。
前走者との距離が遠ければ遠いほど節約出来るエネルギーは減るが、20m離れていても8.9%のエネルギーを節約する事が可能だという。
また、アイントホーフェン大学のバート・ブロッケン教授によると、隊列をリードする先頭の走者の15cm後ろに走者がいる場合、先頭走者も約1.5%の省エネ効果が得られるという。
奥が深いトラック競技
トラック競技のバイクは非常にシンプルな形であるものの、様々な面での計算・研究の結果が凝縮されている。結果を出すために大きな役割を果たしているのは選手自身がパワフルな筋肉を持ち、無駄の無い体であり、効率的なテクニックを擁することで間違いない。だが、バイク、気象的要因、走路、ライダーのポジションなども合わせて重要な要素となっている。
周回をただ速く走るだけではない。
様々な要因が複雑に絡み合い、調和した上で成功するトラック競技は究極のスポーツと言えるだろう。
参考記事:https://www.uci.org/track/news/2019/the-science-of-track-speed