再生・再利用、循環までのいくつもの工程
今回は特別に廃棄物が再利用されていくまでの工程を見学させてもらった。
最初の工程を担うのは「人の目と手」
最初に見せてもらったのは、混合廃棄物が運ばれてくるヤード。名前の通り紙くずや金属くず、廃プラスチック類など様々な物が運ばれて来る場所だ。
しかし中には資源として再利用できるものが混じっている。また再利用できないものでもそれぞれ処分方法が異なるため、分別が必要になってくる。
分別を行う1番最初の工程で頼りとなるのが「人の目と手」。段ボールなどで運ばれて来た廃棄物は1つ1つ手作業で開封し、中身を確認する。
木くずや泥などが混入している場合、そのまま処理する訳にはいかない。バッテリー等の爆発性・発火性のあるものは次の工程に進む前に、特に入念に取り除かなければならない。慎重さと様々な物を見分ける技術が求められる大変な作業だ。
そもそもバッテリーは各消費者によって特定の方法で個別に廃棄されることが求められている。
宮越さんは「一括りに『使用済みのゴミ』として捨ててしまわぬよう、消費者への周知活動を各メーカーにも積極的に行なってほしい」とメーカーや消費者にも意識を高めて欲しいと語る。
「破砕機」で細かく砕き、さらに細かく分別
危険物や泥などが取り除かれた混合廃棄物は、さらに分別しやすいよう「破砕・切断」されていく。
大量の廃棄物が「破砕機」などの専用機械で次々と細かくなっていく。いっぺんに切り刻まれる光景は圧巻だ。
次は分別していく工程となる。
細かくなった廃棄物はベルトコンベアで運ばれていき、風力で選別をする「バリオセパレーター」など様々な選別機を通っていく。金属類とそうでない廃棄物、軽量物と重量物などに分別し、それぞれの選別ラインに枝分かれしていく。
そしてこの工程でも重要となるのが「人の目と手」。それぞれの選別レーンの先には「手選別ライン」があり、危険物や小さな金属、木くずや硫化物などを瞬時に見分け、取り除いていく。選別の熟練者たちが最後の砦を担っているわけだ。
分別・細かくすれば資源が増え、廃棄する物が減る
あらゆる物が”廃棄物”として一括りに搬入されてくる「京浜島工場」。しかし破砕をかけ、細かくなったものを1つずつ分別していくことで、まだまだ再利用できるものが次々と発掘されていく。
細かな作業を丁寧に行う東港金属の京浜島工場。
そのリサイクル率は2012年〜2021年までの10年間で毎年93%以上に達しており、多い年では96%を上回る。”廃物”として一括りに捨てられる物の中には、再利用できるものがまだまだ残っていることが分かる数字だ。
東港金属株式会社「Business Results 売上・受入量・リサイクル率の実績」
逆に言えば、東港金属のような「受け入れ門戸が広く」、「高い分別技術を有している」会社がなければ、多くの再利用可能なものが、そのまま廃棄物として最終処分されてしまうことになる。
京浜島工場がどれだけ重要な役割を担っているのかを知る、非常に貴重な体験となった。