スポンサー就任後の反響

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スポンサーとして期待すること、将来像

Q:今回JCFとのスポンサー契約を更新し、継続していく立場から、JCFや選手たちに期待していることはありますか?またスポンサーとして展望している将来像などはありますか?

日本ではまだ「自転車が持つポテンシャル」を十分に発揮できていないと思っています。

日本には山もあり海もあり、自転車で走れる素晴らしい場所がたくさんあります。かなり良い環境だと思いますし、自転車競技の伸び代は大きいので、少し”もどかしさ”を感じてしまうこともあります。

当社の主な分野はB to B事業ですが、今後はB to Cなどにも関わっていき、自転車業界の成長に貢献したいと思っています。

その大きなきっかけとなるのがナショナルチームへのスポンサーですので、今後はもっと新しいことにも携わっていきたいです。

様々な分野からサポートを得られるように

Q:『もどかしい』と仰いましたが、具体的にはどのような分野でそう感じるのでしょうか?

学生の自転車競技にもっと注力していくべきだと感じます。

学生の競技登録人数を調べてみたところ、約600人だけだったんです。例えばバスケットボールは約60万人、サッカーは約70万人が学生選手として登録しています。3桁も違うのです。600人ほどで満足するのではなく、高校や大学の自転車競技部がどういった場であるべきなのか、などについてもっと考えていく必要があると思います。

プロに関しても、スポンサーなど資金の調達方法は他にも選択肢があると思います。より多くのビジネスマインドを持った方々が業界に入ることで、プロチームや実業団チームがより上手く成立し、そうすることで自転車競技を志す人口も増えていくと考えています。これは学生の自転車競技でも強く思うことですね。

プロ競技を運営している方々は、ものすごく苦労して頑張ってらっしゃると思います。その頑張りも良い方向に向いていると思うのですが、より他の分野の方々も巻き込むことで、自転車競技ができることはさらに広がると思うのです。

ITA - Italy, Men's Team Pursuit, 2022 Track Nations Cup, Glasgow, Great Britain

近年、自転車の車体の価格が高騰しています。確かに自転車を始めるハードルが高くなっているという見方もできますが、その高価な自転車が売れているということは、それだけ需要も増えているという考え方もできます。そうした需要をより広くアピールすることで、可能性も拡大していくと思います。

自転車競技が持つポテンシャル

トラックサイクリングキャンプ2022,宇都宮競輪場

Q:自転車競技をどうやって他の分野と紐付けるかが重要、ということですね?

はい。それから自転車競技の楽しみ方のアプリケーションも、まだ不十分だと感じています。

近年、自転車に乗っている時の細かい数値など、マニアックな宣伝が多く見受けられます。個人的には初心者が純粋に自転車を楽しめるような魅力も、より積極的に広めていくべきだと考えています。

更に自転車の可能性を感じる点では、例えばサッカーは学生の選手登録数が70万人ほどいますが、その大半が公式戦などには出場できません。練習をしても試合には出られないんです。ですが自転車の場合は、途中で足切り(タイムアウト)になることはあっても、レースには出場できます。レース・試合に出場することで『選手として活動している』と、より強く主張することができます。

それに自転車は1人でも始められ、レースに出場できます。ですが個人競技でありつつも、チームスポーツとしても成り立つことができます。そうした面でも自転車競技には、まだまだ伸びるポテンシャルがあると思いますね。

メダル獲得を成し遂げたトラック競技

佐藤水菜, 梅川風子, マチルド・グロ, GROS Mathilde, FRA, 女子ケイリン表彰台, WOMEN'S Keirin Podium, 2023トラックネーションズカップ ジャカルタ, 2023 TRACK NATIONS CUP Jakarta, Indonesia

Q:確かに、自転車や自転車競技が『難しいもの』というイメージを持つ人は一定数いると思いますね。

そうですね。もっと純粋な楽しさを広められれば良いですね。

逆にトラック競技では科学的な知見に基づいたトレーニングをして、メダルも多く獲得しています。トラック競技でメダルを獲得できるということは、ロードやシクロクロスでも可能性があると信じています。

自転車競技への熱い思い セカンドキャリア支援

そしてサイクラーズは今、自転車競技者のセカンドキャリア支援にも力を入れている。

高校や大学を卒業後に競技を続けたい選手、プロとして引退した選手、これからプロを目指す選手に「練習する時間を確保しつつ仕事環境を提供する」などを想定。自転車を本気でやる人から趣味でやる人まで、サイクラーズで働きながら希望を叶えることができるよう会社側が理解を示す方針だ。働き方を相談しながら、自らに合った形で働くことができるとのこと(新卒/中途問わず)。

自転車競技に熱い想いを持っている会社。そんな場所で働くことに興味を持っている方は、是非連絡してみてはいかがだろうか。

サイクラーズ株式会社採用ページ

以上本記事では、JCFのスポンサーを務める「サイクラーズ株式会社」の福田隆社長へのインタビューをお届けしてきた。スポンサー契約を結んだ背景や、スポンサーとして経験したこと、期待することなどについて話を伺ったが、その節々に自転車競技への熱い思いを感じる内容だった。

一方で、JCFのスポンサーをしていたからこそ繋がった関係性などについても知ることができた。

今回福田社長に行ったインタビューでは、「サイクラーズ株式会社」の取り組みなどについてもお伺いしている。さらにサイクラーズグループの工場も特別に取材させてもらった。

インタビューの続きや”工場潜入レポート”についても、ぜひ合わせてチェックしてほしい。

続編は10月12日公開

(2)”廃棄物”を資源に!再生率は約95% JCF公式スポンサー「サイクラーズ株式会社」の工場に潜入してみた