TOKYOのスタート台はポジティブな要素
Q:真面目な話をしていきましょう。有明のコースはご自身向きでしょうか?
今回の東京のコースは、スタートゲートが開くのがとても速いです。スタートゲートが開くのは速い遅い(※コンマ1秒も差がない話です)があり、今回のゲート速く、自分が好きなスタートです。
自分が拠点としているスイスも、これから最終調整に入るオランダも、同じスタート台を使っています。このスタート台であれば10回中8回はスタートに成功するので、東京に向けてのポジティブな点だと思っています。
それから、今回のコースはスタート以外真っ平(ジャンプセクションなどあるものの、一番低いところの海抜は変わらない)。
これまでのオリンピックのBMXコースは、コーナーの度にコースが低くなっていました。距離も今までより50mほど長いので、体力的に厳しいコースです。
ですから「スタートで加速したスピードを、いかに落とさずフィニッシュまでもっていけるか」が重要なポイントとなります。このコースが得意か不得意かと問われたらなんとも言えませんが、テストイベントの際に走った時は、感触が良かったです。
前回果たせなかった“全て”を出しきる
Q:リオで経験したことで、活かせることはありますか?
前回は初めてというのもあり、オリンピックの雰囲気に呑まれて不完全燃焼となってしまいました。出場したことに満足していた部分もあったのかな、と今なら思えます。だからこのオリンピックでは自分の力を出しきりたいと思っています。
Q:前回の「呑まれてしまった」を克服するには?
オリンピックにしかない”何か”があるとわかり、その”何か”はポジティブにもネガティブにも働くことがわかりました。今回はその”何か”を味方につけたいと思います。それを知っているだけでも、備えることはできるし、大きく違うと思っています。
Q:トラック競技をやってBMXに役立つことはありますか?
刺激をもらえた、ということが一番大きいと思います。特にdreamSEEKERの選手たちには負けたくない、といった刺激をもらっています。
BMX選手は若い世代が多く、トラック短距離のフィールドで年上の選手たちのプロフェッショナリズム、人生観に触れられたことも大きかったです。
Q:今までで最も悔しかったレースは?
前回のオリンピックのレースは未だ怖くて観られていません。悔しいけど情けないという方が大きくて・・・・・でもオリンピック前には観る予定です。
Q:では逆に、これまでで一番うれしかったレースは?
2018アジア大会の優勝と2020全日本選手権です。どちらも「自分と戦って勝てた」レースでした。
全日本の時は、身体の調子は良くなかったですが、上手くメンタルを身体とマッチできたかと思います。アジア大会も勝つべくして勝てたことがうれしかったです。
決勝のスタート前は本当に緊張していましたし、2コーナー前にはトップで走りながら「これ夢なのかな?」と思いました。夢と現実のマッチというか、もちろんイメージはしていたのですが不思議な感覚でした・・・・
不思議な感覚といえば、2009年の年齢別のカテゴリーの世界選手権でも経験しました。全く期待されていなかったのですが、準決勝のレースで青白い「道」が見えたことがあります。前でクラッシュが起きていましたが、その道に沿って進んだら3着になり、決勝に進むことができました。この2つのレースは印象に残っています。
Q:今回のレースでBMXは引退でしょうか?
オリンピックの直後にある世界選手権には出場するので、それで世界への挑戦は最後になると思います。国内のレースはまだ走るつもりです。