Performance Analyst(パフォーマンス分析)橋本直

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無理難題もチームで解決

「先日はクレイグ・グリフィン中長距離ヘッドコーチから、高酸素トレーニングの設備導入の話がありました。導入方法、コスト、必要設備などを検討することも、サイエンスチームの仕事です」

低酸素トレーニング、高地トレーニングは聞いたことがあるだろうが、高酸素はあまり聞かない。空気中にある物を薄くするのではなく、濃くする。トンチの効いた謎謎・・・・のようだ。そして持てる知識の活用とリサーチを行い、選手たちのために不可能を可能にしていく。

常にデータと向き合うサイエンスチーム。東京オリンピック、その先に向けて目に見える進歩はあるのか?

「定期的に6秒間ダッシュ、4分間走、20分間走を行っているので、選手の状況は見えています。パフォーマンスがトレーニングを反映していることもあれば、そうでない時もあるので、そうでない時はコーチと共に原因を究明しなければいけません。ただ、この定期的なチェックは選手がその時にどのような状態なのかを理解しないと意味がありません。単純にデータを見るだけでなく、選手のコンディション面を考慮しながら数字の評価を行っています。トレーニングの効果の詳細をお伝えすることは出来ませんが、上手くいっています」

今選手がどういった状態なのか、問題はあるのか、課題は何か。サイエンスチーム内で情報共有/評価をしながらデータと向き合い日々を過ごす。コロナ禍で「レースの結果」という見易い指標を失っている今だからこそ、データが最も重要になる。

実戦と練習、そのバランスが必要

ただ、実戦のデータはやはり欲しい。そして成長するために実戦は必要だと理解している。

「単純に実戦で得られる負荷やそれに類するものを提示し『練習で実戦同等の負荷をかける』と言うのは簡単です。しかし『他人と競う』ことから生まれるメンタル面のプレッシャーや、しのぎを削る中での戦術・・・そういったものは実戦でこそ磨かれ、結果として『レースでより選手を追い込むことができる』とサイエンスチームは考えています。

選手のフィジカルデータは常に蓄積していますが、数値的には平均的な選手でも、レースになると強い、そしてその逆もあります。数値とにらめっこすることも大事ですが、実戦も大事。どちらもバランス良く行わないと、本当の意味での強化にはならないことが、レース結果から分かります。

レースが少なく厳しい状況ですが、限りなく実戦に近いトレーニングレースを企画し、選手が本番さながらにすべてを出し切れるような機会をHPCJCの総力を挙げて提供することも、重要なタスクとして行っています」

男女混合オムニアム、ガチ勝負を窪木一茂が制す

英知の吸収、今後のために

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