ガールズケイリンと競技のケイリン

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スプリント、チームスプリント、そしてケイリン

全日本選手権の頃はなんとな〜くスプリントを走っていたんですが、それじゃ絶対に勝てないと気づきました。ケイリンも頭を使いますが、スプリントは頭をもっと使います。

Q:スプリントはどう練習していますか?女子は人数が少ないし・・・

女子同士で練習してますが、ブノワ(・ベトゥ短距離ヘッドコーチ)が相手になることもあります。ブノワには、たまに勝つこともありますが、半分以上は負けますね。

海外で戦う鍵、適応能力を鍛えろ!ブノワ・べトゥ短距離ヘッドコーチが語る合宿の意義

ブノワ・ベトゥ短距離ヘッドコーチ

選手並みに鍛えているわけではないブノワに負けちゃうんです。だから脚力は大前提ですが、それに加えて頭がないと絶対に勝てないということです。

Q:チームスプリントの練習はしていますか?

最近はやっていません。アジア選手権の後にやるかも、という話はありましたが、(小林)優香もオリンピックに専念するので・・・ただスタートの練習は続けています。

チームスプリントで一番大事なのがスタートなんですよね。その能力は鍛えないと衰えていくので、週に1回くらいやっています。

Q:スタートの練習って、身体的なキツさはあるんですか?

60mを10本くらいなので、ハアハアなるような練習ではないです。なのにダメージが蓄積して、最後は体に力が入らなくなるような感じになります。1、2本目にかかるパワーがもの凄いので、そこでどっと疲れちゃうんですよね。

Q:スタートが重要だとはよく聞きますが、あの動きは何が難しいんだろう?という疑問があります。どの辺が重要になるんでしょうか?

筋肉も大事ですが、技術ですね。「いかに体を前に持っていくか」なんですが、怖くてできないんです。自転車から体が飛び出して、そのままバランスを崩してしまう怖さがあります。でも「いかにつんのめるか」が大事なんです。頭ではわかっていてもなかなか出来ないです。

1st Round / Men's Team Sprint / TISSOT UCI TRACK CYCLING WORLD CUP V, Brisbane, Australia, 長迫吉拓 新田祐大 深谷知広

一番手前の思いっきり「つんのめって」いるのは、BMXレーシングの日本代表でもある長迫吉拓選手

Q:ここまで「スプリントは頭が大事」「チームスプリントのスタートは度胸が大事」のようなことを聞かせていただきましたが、ケイリンにそういう「実は」みたいなものってありますか?

ケイリンは・・・ないですね!

ケイリンはとにかく、そういうものがないんです。「何が起こるかわからない」からスタートして、すべてを想定して、対処できるようにしておかないといけない。でも「何かが起きる」と決めつけてもいけない。モヤっとしていますよね(笑)

だから「勝つべくして勝った」レースと「あれっ?勝っちゃった」ってレースが存在します。恵まれたとか、展開が良かったとか、たまたまその場所にいたとか・・・「自分がチャンスを作って誰かの2番手にいた」なら「勝つべくして勝った」と言えるのですが、「たまたま勝った」レースだと頭を使っていないので、次の時負けてしまいます。

Q:今までのレースで「これは勝つべくして勝てた」と印象に残っているレースはありますか?

・・・・・・ないですねえ(笑)

私の悪いところなんですが、力勝負をしてしまうんです。テクニックじゃなくて力で勝とうとしてしまうのですが、それは競技のケイリンでは通用しません。だからこそ戦略を学びたいと思っています。

自分から、動いて動いて、レースを作っていく。それが目指すところです。

ガールズケイリンにおける「支配者」

ガールズケイリン、特に上位レースでは「レースの支配者」がいるんです。「この人を中心にレースが動いてしまう」という人。でも競技のケイリンはそうもいかないですね。

Q:日本の競輪なら「支配者」になれたら勝てる、ということですか?

そうですね。もちろん展開によっては「支配者」じゃない選手が勝つこともあります。

「レースの支配者」から支配力を奪うこともできるんです。簡単に言うと「支配者の好きにさせない」ことで、自分が「支配者」になることができます。具体的にいうと位置取りなどの話ですね。まあ、できるとわかってるのにやれない時もあるし、やったところでできないこともありますが・・・

ナショナルで力をつけることで「支配者」になることができますが、一方で「支配者」だからこそコントロールされそうになったりします。

スピードスケートから競輪へ、そして競技へとフィールドを渡り歩いてきた梅川選手。だからこそ感じることなのか、競輪とケイリンの違いを饒舌に語ってくれた。

「走っていると違いがよくわかりますが、見ている人にはあまりわからないですよね。だからこそ伝えたいなと思っています」という言葉が印象的。きっとこれからその「走り」で、競輪と競技の違い、魅力を、我々に発信し続けてくれるだろう。