日本と海外のメカニック

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日本のメカニックの現状

Q:ナショナルチームやHPCJCのような、高度なレベルのメカニックとなれる人材は日本に何人くらいいるのでしょうか。

齊藤:トラックレーサー、ロードレーサーを「扱える」という意味では、ショップスタッフで技術力の高い方はたくさんいます。でもこれは大抵の場合「1台にたくさんの時間をかける」スタイルです。現場で、限られた設備と時間の中で求められるスキルを持つ人となると、やはり少なくなりますね。僕も森さんたちのような長い経験を持つ人には遠く及ばないと感じます。パッと思い浮かぶ何人かのメカニックの方たちの中には、ヨーロッパに行ってしまった人もいますし・・・

トラックに限らずロードやMTBに目を広げてみても、多いとは言えないですね。

森:自転車屋さんも含めて、技術的に優れた方はたくさんいるはずです。でも僕らナショナルチームをサポートしているHPCJCのメカニックは、体力的な部分や、トラブルに対する総合的な対処能力が求められます。「部品を交換して修理する」ではなく「そこにあるもので修理する」、そのような能力ですね。

Q:今HPCJCでは、短距離だけでも男女合わせて20人くらいの選手がいます。メカニックの人数は足りているのでしょうか?

森:理想を言うと、現状よりもっと人数が欲しいです。今は僕が常駐で、それに加えて齊藤くん、それからロードを中心としている高橋メカニックがたまに応援に来てくれています。そして、もう1人頻度は高くないですが来てくれる人がいます。

そのほかには「支援スタッフ」の部署に所属するメカニックスタッフ、教育中の大学生スタッフがいます。・・・そのようなサポートメンバーはいますが、普段よく見る顔ぶれは3人くらいでしょうか。その中でも常駐は僕1人なので、HPCJCメカニックとして常駐が3人くらい居ることが理想だとは言えます。このような状況なので、人材を探していますね。

Q:メカニックの仕事としては自転車を組み立てる、細かなセッティングを調整する、何かがあったら直すといった形かと思いますが、2人はHPCJCが主導となっている機材開発に関わったりするのでしょうか?

森:僕らは金属や空気抵抗への専門的な知識を持っていないので、その辺りはサイエンスチームが主体ですね。ただメカニックの経験から助言をすることは稀にあります。「こんなものがあれば良いのにな」とか、「過去に似たような部品があったけど、こんな問題があった」とか。

選手たちのレベルがどんどん上がって、上がるところまで上がったら、あとは機材が頑張るしかなくなると思います。ですので、いずれは開発の面にも関わりたいと思っています。

一番早く来て、一番遅く帰る

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