自転車競技でアジア人が体格で劣ることは無い
私はいつも「自転車競技というスポーツは、誰でもできるスポーツ」だと言っています。私は選手時代、体格的に恵まれた方ではありませんでした。体重も70kgくらいでしたね。サム・ウェブスター選手は当時の私と同じくらいの体型で、結構細い。ですがそれでも強いですよね。
誰でもできるとは?
身長が高くても低くても、ハイレベルな選手になれる可能性があります。例えば、水泳やバスケットボール、陸上などは身長が高いと有利ですよね。
その上で、例えば体が大きいとスプリントに有利、いやいや175cmくらいの方が良い、などブノワ監督的なベスト体型はあるのでしょうか?
特に無いと思いますよ。男子も女子も、世界選手権やオリンピックの表彰台を見ると、みんな体型はバラバラですから。
オリンピックチャンピオンのドイツのクリスティーナ・フォーゲルとオランダのエリス・リグトレーでは全然違うでしょ?男性もそうですよ。ボスとドミトリエフだと全然違うでしょう?二人とも世界チャンピオンなのにです。だから誰でも、体型が違ってもできるようなスポーツだと思います。
ではアジアの選手が骨格や体格などで劣ることはないということでしょうか?
日本に来たばかりの頃「日本人は弱い」とか「西洋人とは違うことをしなきゃダメ」という言葉を聞きましたが、そんなのは根拠がないですね。客観的じゃありません。
私は長い間アジアで過ごし、もう体型が強さを左右することは無いとわかっています。ただ精神的な面で違いは感じますね。歴史が浅いとか深いなどですね。ただ、遺伝子的に違いがあるか?と聞かれれば、違いは無いとは思います。
ヨーロッパ人より、日本人が弱いという原因では無いはずです。私は医者ではありませんが、そんな訳は無い。保証しますよ。
…後編へ続く
Interview : Mizuki Ida
Photo : Shutaro Mochizuki