「結構色々貰える」?ロシアンアスリートの報酬制度とは
勝つためには犠牲が必要。最も自分を追い込んだ者が勝つ権利を得ることができる。過酷なアスリートの世界での心の持ちようは我々一般人には想像出来ないモノなのだろう。しかし勝って得るモノも我々が想像できないモノに違いない。
だが、勝利、名誉の他にも得られるモノはあるのか。国ごとにルールの異なるオリンピックの報奨制度などはどうなのだろう。
「地域によってルールは異なるよ。前に柔道の選手がロシア人として初めて金メダルを獲った時に、その土地(故郷)の人から100万ドルをもらったって話は聞いたことがあるよ。モスクワにはアスリートがたくさんいて、オリンピックでメダルを獲った人も多い。だけど、もし自分が違うところの出身で、オリンピックでメダルを獲れば、結構いろいろと貰えるのがロシアだね(笑)。あとはスポンサーからもお金は貰えるからね」
「今がチャンス!」市長に連絡してアパートメントを政府価格に
「モスクワの場合だと、自分が活躍したら市長に連絡をして、1年位待つとアパートメントが貰えることがあるよ。2000万円くらいの価値じゃないかな?
僕の場合はロシア初の世界選手権スプリントの金メダリストになって、ニュースに出たりといろいろ大きく報道されたんだ。そして“これはチャンスだ”と思って市長に連絡したら、小さなアパートメントを60%オフにしてくれたよ。政府価格とでも言うのかな?
そのアパートメントには、今は僕の母親が住んでいるよ。モスクワにあってベロドロームから遠くない40平米位の小さなアパート。母は親戚のアパートに元々住ませてもらっていたんだけど、いつ引っ越さなければならないのかと心配していたんだ。それに母は働いてはいるけど、アパートが買えるようなお金も貰っていなかった。だから市長に頼んでアパートを買って、母にプレゼントしたわけさ。
まあでもタイミングが良くてラッキーだったよね。他にも同じようにいろいろお願いしている選手はいるだろうし、市長だって基本的にはそのようなお願いは聞かないはずなんだ。だから本当にラッキーだったと思うよ」
と最後は母親想いの一面を覗かせたドミトリエフ。
勝つために必要なメンタリティーを備えつつ、オリンピックまでの残り1年を駆け抜けていくロシアの弾丸。果たして2020年東京オリンピックが終わる時、ドミトリエフ物語の結末はどのようになるのだろうか。