前田が切り開いた道

恐らく前田佳代乃は何十回何百回と問われた事が「ガールズケイリンに行かないのか?」である。その問へ対しては、引退直後から明確に否定をしていた。競輪選手へ対する多大なリスペクトは抱いているが、あくまで自分の競技者としての考えは競輪には無いからだ。「自分が求めているのはここじゃない、自分は別の道を行こう」と。

競輪選手と自転車競技、二足のわらじを履くことも決して容易いことではない。しかし、自転車で収入を得る機会が定期的に保証されるという点では、競輪選手である事は自転車競技選手にとって最も効率の良い生活の糧を得る手段だ。だからこそ、世界トップクラスの外国人選手達が日本の競輪へ参加する事を熱望する。

前田佳代乃は一貫して個人でスポンサーを集め、実業団チームにも属さずに競技者としての人生を歩んできた。「競輪選手じゃなくてもナショナルチームで活躍できるという事を示せたのは、自分が切り開けた道かな」と控えめだが誇らしそうに、はにかんだ。

引退の実感はゴールした瞬間