アルカンシェル姿をあらためてお披露目できたら

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世界王者が語る、レースへの挑み方

Q:チャンピオンを目指す上で、山﨑選手の現在地はいかがですか?

結果も残せていないですし、良くはないですね。『ジャパントラックカップ』では降格もありました。無意識的にではありますが、どうにかして勝とう、という気持ちが出過ぎてしまっているのかもしれません。

Q:気持ちの部分でいうと、ローラーを使ってウォームアップをしている時から、もうスイッチが入っているような状況なのでしょうか?

いえ、そんなことはないです。アップをしている時は、それこそボクサーの方がシャドーボクシング*しているような感じだと思います。いつも20分ウォーミングアップをするのですが、その時に、イメージの中では何度もレースは走っていて、頭のアップも同時に行なっています。

※シャドーボクシングとは、ボクサーが相手をイメージしながら身体を動かす様

山﨑賢人, YAMASAKI Kento,男子スプリント, MEN'S Sprint Qualification 200mFTT,2025トラックネーションズカップ トルコ・コンヤ, 2024 UCI TRACK NATIONS CUP Konya, TUR,

Q:そこから選手溜まりへと進み、スタート位置につくあたりは?

その時は、自分の状態を確認する時間です。
「心臓の鼓動が早すぎるからちょっと落ち着こう」とか、「落ち着きすぎているからもう少し緊張高めよう」とか。自分と会話すると言うか、客観的な視点を持って、状態を調整しています。

“リトルアフロ”との一体化

Q:自分の中の“リトルアフロ”と対話をしている、ということですね。

そうです。

Q:レース中は、そのリトルアフロは語りかけてこないんですか?

そうですね。一体化しているので。むしろ、リトルアフロが走ってる感じです。

Q:一体化……走っている最中は、展開やその後のどう動くか、ということを頭の中で考えているのでしょうか?

うーん……一瞬でレースの状況は変わっていってしまうので、「考える」という感覚ではないですね。一瞬考えが過るということが連続で続いて、瞬時に判断しています。
考えが過って「どうしようか」と考えるのではなくて、その時には体が動いているような感じです。本能で動いている、というべきかもしれません。

山﨑賢人,YAMASAKI Kento, 男子ケイリン, MEN'S Keirin, 2025ジャパントラックカップ II, 伊豆ベロドローム, 2025 Japan Track Cup II, Izu Velodrome, Japan

Q:頭の中に一瞬過った考えに、つまり本能に従って動いたほうがうまくいくのでしょうか?

そうですね。去年の世界選手権は、頭と体がマッチしている感覚で走ることができた結果、優勝という結果を残すことができたので。でもレースを振り返った時に、「あの時こう思ったのに、なんでそうしなかったんだろう」と思うことが多いです。それはつまり、頭と体が連動していないというか、集中できていなかったということだと思います。

Q:今回も、頭と体がマッチした走りを期待しています。

応援していただける方たちの声を直に聞く機会も増えて、本当にありがたいことだなと実感しましたし、もっと頑張らないといけないと感じています。今回は、競技に集中して挑む大会になります。ケイリンは負けられないですし、スプリントは獲りに行く。その先で、今よりも強くなった姿を見ていただきたいと思っています。