出会いに恵まれた選手生活、一丸尚伍インタビュー

「あと半日遅れたら死んでた」と言われた大病

Q:一丸選手が感じている自転車の面白さってなんですか?

じいちゃんと走ってるときはそんなに面白くありませんでした。でも、高校で仲間と走ってるときはすごく楽しくなってました。

あと僕、実は高校2年の時に病気で死にかけて、「自転車を辞めて勉強を頑張ったほうがいい」って言われたんです。そのときに心底、自転車が好きなんだって思いました。

Q:どんな病気だったんですか?

『全身性エリテマトーデス』という病気だって言われたんです。膠原病の中の一つなんですけど・・・それで40度以上の発熱が3週間くらい続いて、最高で41.9度にまでなってしまいました。ちょうど10年くらい前の出来事です。

1週間で10kgも痩せて、お見舞いに来た人にあとで教えてもらったんですけど、「こいつ死ぬわ」って思われてたそうです。

それで、大きな病院に転院することになったんですけど、そこでは「あと半日遅れてたら死んでましたね」とまで言われました。

結局、丸々2カ月ほど入院して、しかもその時は大分国体だったんです。自転車に乗るのが好きだったのに、大事な期間に2カ月間も乗れなかった、それがストレスでしたね。小さいDVDプレイヤーで六峰が録画してくれたツール・ド・フランスを、毎日ステージを入れ替えては何回も見ていました。

それで、そのときに病気の原因が紫外線だと言われました。自己免疫疾患だと。自分の免疫力ってあるじゃないですか、悪い菌を倒すための働きなのに、良い菌まで殺しちゃうような病気だと。お医者さんには「もう自転車は厳しいと思うから、勉強を頑張った方が良いよ」って言われたんです。けど、いやいや勉強の方が無理だわ!と思って(笑)

Q:つまり紫外線に当たっちゃいけないってこと?

はい、だから高校卒業、退院して大学1年か2年ぐらいまでは、夏も長袖長ズボンとかで、アームカバーを付けて、ネックカバーも付けて自転車に乗ってました。基本的に真っ白でした。

Q:それがきっかけでトラック競技に集中したということ?

そういう訳じゃないんです。本当にロードレースがしたくて、高校を卒業してすぐに「フランスへ行きたい」って親に言ったんですけど、親はそういう病気をしたし、できれば日本にいて大学へ行って欲しいって言われて。それで法政大学へ進学したんです。

出会いに恵まれた選手生活

大学へ入学した年、僕はジュニアのナショナルチームの選手だったんですけど。入学前がアジア選手権だったんです。そのとき、レースから帰ってきたら、大学の自転車部の先輩が事故を起こして活動停止状態になってました。

それがニュースにもなって、そのころはローラー台を使った練習しかできなくて。もうその年のジュニア世界戦のトラックに出場することが決まっていたので、法政大学にそのまま在籍していたら出られない。その後の事もいろいろ考えたんですけど、世界戦に出たかったので法政大学の自転車部は辞めようと決意しました。

普通はスポーツ推薦で大学へ入学したら、部活を辞めたら学校も辞めなくちゃいけないんですけど、法政大学は部活は辞めても学校には在籍していいらしいと知ったんです。早川朋宏(現・愛三工業レーシングチーム)先輩のお母さんが僕の親と連絡を取っていて、早川先輩のお母さんが調べて教えてくれました。故障した選手のことを考えて、大学に在籍してもいいという。

けど、僕としては勉強は嫌いだし、自転車だけやりたかったので、先生や親には「辞める」っていって荷物も全部実家に引き上げてしまいました。

それで、親としては大学にはいてほしいけど、僕は行きたくない。だから、とりあえず1年間は休学しようということになりました。

その時、自転車を続ける上でチームが無いなと思って探していたところ、ちょうど浅田顕さんが、エキップアサダで選手を育成するからって人材を集め出したんです。そしてチームに入るための試験みたいな感じで走りを見てもらって、加入が決まりました。だから、大学4年間は浅田さんのチームにいました。浅田さんからも「大学に入学したんだからちゃんと行ったほうがいい」って言われて、大学に通いながら、レースに出るようになりました。ただ、大学への通学があるからチーム活動やチーム練習もほとんどできない状態だったのに、それでも浅田さんはチームに置いてくれました。すごいありがたかったです。

それで、浅田さんがブリヂストンアンカーと繋がりを持っていたので、多分そこからアンカーに入れたと思うんです。

Q:じゃあ浅田さんは大学時代のお父さんみたいな存在?

そうですね、いや本当に頭が上がりませんね。

今まで自転車競技を続けてきて、というかここまで生きてきて、本当にいろいろな人にお世話になって、高校の先生もそうだし、水泳の先生もそうですけど、コーチ、監督に恵まれて。優しい人ばかりと出会えてきています。

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