自己中くらいでちょうどいい!

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これが「生きる道」なだけ

長迫吉拓, NAGASAKO Yoshitaku, JPN, Qualifying, Men's Team Sprint, 2022 Track World Championships, Saint-Quentin-en-Yvelines, France

Q:1走の面白さって何でしょう?

長迫:無いです!

Q:ないのにそんな辛いことをやってるんですか?

梅川:ね。アホだよね。

長迫:だってほら、責任感があるから……

Q:フィジカル的に向いてるという話は置いといて、「なぜ1走をするか」と問われたら、どう答えますか?

長迫:「達成感」ですかね。自分をドン底まで追い込んで、それに対して自分が「できた」という達成感が好き。いじめこんで、それをやっつけた自分が好き。「スタートが好き」とかではないです。

梅川:私も同じ感じかな。

長迫:正直自分は1走しかできないし、他をやろうと思っているわけでもないです。オリンピックが好きだから、そのためにこれをやっています。手段が他にあるのならそこで頑張ると思います。

梅川:これが「生きる道」なだけ、ですね。

ネーションズカップの注目ポイントは

Q:ネーションズカップ第1戦(ジャカルタ)が迫っています。意識しているチームはありますか?

長迫:僕はあんまりないですね。世界選手権では希望は持てましたが、残念な結果*だったので、今度は着実に勝ち上がっていきたいです。

※タイム自体は良いものだったが、失格判定で敗退した

梅川:私はタイムが同じくらいのところが気になりますね。メキシコはあまり大会に出ないし、ニュージーランドとも対戦したことがない。そういう「速いだろうけれど、今まで走ってきていない組」が気になります。上位4国は強いから今後の目標として置いておいて、5位くらいに食い込むために、5〜8位あたりの国に注目しています。

梅川風子, UMEKAWA Fuko, 太田りゆ, OHTA Riyu, 佐藤水菜, SATO Mina, JPN, Qualifying, Women's Team Sprint, 2022 Track World Championships, Saint-Quentin-en-Yvelines, France

Q:梅川選手はジャカルタは初めてですよね。長迫選手は2回目でしょうか?

長迫:BMX(2018アジア大会)で行ったことがありますが、トラックでは初めてですね。

Q:ジャカルタの思い出はありますか?

長迫:緊張して眠れなかったことですね。アジア大会って大きい大会だと思っていなくて、アジア選手権の一部みたいなもんだと思ってたんです。でもいざ行ってみたら「あれっ、この大会デカくね?」って(笑)

すげーじゃん、勝たんといけんじゃん、って意識が積み重なって……レース当日は3時間くらいしか眠れてなかったです。これまでで1番緊張した大会だったかもしれません。

Q:以前「勝って当たり前と思われてたから、負けるとヤバかった」とお話しされてましたね。

長迫:そうです。負けたら「どうした?」ってなる感じで……「そりゃ負ける時もあるよ!」とは思うけど、「負ける時もある」で終わらせたくない、という気持ちもありました。

サバイバル長迫、繊細梅川

Q:気候や食事について、初ジャカルタとなる梅川選手にアドバイスをお願いします。

長迫:僕はなんでも問題ない人なんで(笑)でも前回は、選手村で過ごしていたので状況が違うかもしれません。だけど日本の夏の方が暑くて、向こうに着いた時「涼しい」って思いましたよ。

梅川:今向こうは30度くらいでしょ、湿度はどうかなって思ってて……

長迫:いや、日本の方が暑いって。大丈夫大丈夫。

Q:長迫選手はインドも経験がありますよね?どっちが暑いですか?

長迫:インドも暑かったけど……日本は暑い上に湿度があるから、最悪ですよね?それと比べれば、って感じです。

Q:梅川選手は長野出身ですが、暑いのは苦手ですか?

梅川:いえ、暑いのが好きです(笑)タイムだってあったかい時期の方が良いし。

長迫:僕はインドなどに行くと「自分はすごく恵まれてるんだな」と実感するのが良い体験だと思っています。とはいえ、ジャカルタは結構栄えているはずですが。

【YOSHI’s Voice】「先輩たちの記録を超える」2022トラックアジア選手権 in インド

梅川:へえ、私はまだそういう国に行ったことなくて。カナダ、フランス、ニュージーランドくらいで……

長迫:お店のおばちゃんとかがずっと裸足だったりするんだけど、それに不満そうな様子がなくて。そういうのを見て「俺ってちっちぇえな」と思ったりして、価値観は結構変わります。でも結局、日本に戻ってくると感覚が戻っちゃうんですが。

Q:遠征の荷物の準備は進んでますか?

長迫:旅慣れてるんで(笑)、前日でオッケーですね。忘れ物もほぼしません。荷物も少ない方だと思いますよ。カメラとかの重たいものを持っていくかどうか迷うくらいで。

梅川:私も少ない方ですよ。でも吉拓と違ってサバイバル能力が高くないから、全部持っていくタイプです。ご飯とか、醤油とか、ツナ缶とか、マヨネーズとか……向こうでツナマヨ作れるようにしています(笑)枕も持ってくし。

Q:それは「荷物が少ない方」じゃなくないですか?

梅川:それでも、他と比べると少ない方なんです。

長迫:捕食系は一切持っていかんわ(笑)プロテインくらい。

梅川:吉拓は現地のご飯で賄えるタイプだからね。そっちの方が良いよね。

Q:インドもそれで平気だったんですか?

長迫:缶詰を一応持ち込んだけど、結局食べなかったですね。朝からナンとかカレーとか食べて、おいしかったです(笑)

梅川:適応能力高いよね。

長迫:みんなインドの水で腹を下していましたが、自分の実家はバラ園で、農業用水を日常的な水に使ってたんです。水道になる前の時代の、川から引いてきたような水。飲みはしないけど、歯磨きくらいなら全然使ってしまっていて、だから強いんかな?って(笑)

Q:梅川選手は、そういう適応能力はどうです?

梅川:まったくダメですね。薬も持っていくし……でも荷物は少ないですよ(念押し)!

Q:結構センシティブというか、環境が変わることに弱い?

梅川:水もチームとして用意してくれますが、私だけ軟水を別に用意してもらって飲んでいます。めちゃくちゃワガママですね。

長迫:軟水と硬水、飲んで違いがわからんわ。

梅川:こういう人もいるからね(笑)私は本当に体に気を使ってあげないと、ダメです。

ひとりで海外に行けるか否か

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