ひとりで海外に行けるか否か
Q:梅川選手は、スケート時代の遠征などはどうでしたか?
梅川:大会へ行く時はナショナルチームと同じようにチーム体制でしたけど、私はひとりでカナダに行ってましたから、全部ひとりでやった経験はありますね。今「ひとりで海外レースに行ってこい」と言われたら、怖いことは怖いけど、やれないことはないと思います。
遠征は色々大変ですね。空港はわけわかんないし、自転車が全然違うところから出てきたりするし……
長迫:前にアゼルバイジャンに行った時、超過料金で50万円取られたことがあって。
Q:!?
長迫:行きと帰り、両方払わなきゃいけないから合計100万円したんですけど、払わないとしょうがないから……あれは痛かったですね。
俺/私のここを見て!
Q:チームスプリント1走、「ここを見ろ」をズバリ一言で言うと?
長迫:17秒しかないからな〜(笑)でも、ブノワ(・ベトゥ テクニカルディレクター)と話して面白かったのですが、1走って17秒しかないし速く走れば走るほど映像に映る時間は短いんです。でも速く走れば走るほど、たくさんの人に見てもらえます。長く映れば映るほど人は見ない……ってのは面白いな、って思いました。
梅川:「って思った」って話、ですね(笑)だから?どこを見れば(笑)?
長迫:だから……「遅くても見て!」って感じ!でも、2走を千切るところを見て欲しいかな(笑)
Q:梅川選手は?
梅川:澄ました顔してるけど、内心めっちゃイライラしてるから……「イライラしてるとこ見て」ですかね。何にイライラしてるかはわからないけど、とにかくイライラしてるから!
世界に向かって
Q:ではネーションズカップ第1戦に向けて、意気込みをお願いします。
長迫:1走はちょっとしたことがすごく大きく響くので……スタートでビビらない、計測線にビビらない、ですね。
Q:「計測線にビビらない」とは?
長迫:スタートのところに引いてある計測線って、計測用の機材が仕込まれてるからちょっとポコっとなってるんです。それで滑りやすい。何回もそこで滑ったことがあるので、ちょっとビビってしまいます。でもそれがあろうがなかろうが、100%で出ていくのが目標です。それができればタイムは出るので。
Q:そこさえ越えれば「世界最速の長迫」が見られるということですね?
長迫:最初から半周くらいまでは世界最速だから(笑)!とはいえ1周も17秒3くらいまでは出るし、出さなきゃいけないと思っています。本当に計測線、怖いけどね。
Q:梅川選手も、計測線は怖い?
梅川:私は線よりも、スタートで引っ掛かるのが怖いですね。でも確かに、気になるのはわかります。わかるから、そういう些細なものを気にして気が削がれないよう、普段から意識しています。吉拓は練習でも線を付けようとしてるよね(笑)克服のために。
※発走機はスタートに合わせてオープンするため、スタートのタイミングがズレると自転車がまだ閉じている発走機に引っかかってしまう。
長迫:本当にちょっとしたことだけど、そういうことの積み重ねなんです。だって17秒しかないし。
Q:たった17秒のために何千時間の練習をして、10時間以上のフライトを超えるわけですもんね。では改めて梅川選手、意気込みをお願いします。
梅川:2走3走のことは「知らん」って思うことにしています。とにかく1周を19秒5で走りたい。ジャカルタのバンクの特性もあるので19秒5に固執する必要はないと思いますが、世界の1走たちのタイムに少しでも近づけるように……18秒台で走りますからね。まずは19秒5、そしてだんだん近づいていきたい、と思っています。