KEIRINグランプリ2022直前 松浦悠士×ブノワ・ベトゥ

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高校時代は「実力がなかった」

ブノワ:「競輪選手になる」と決めたのは何歳のことだったのでしょう?

松浦:高校2年の時なので、17歳です。選手になりたいと思って親や師匠に伝えました。

ブノワ:高校で自転車競技をやられていたと思うのですが、国際大会へ進むことや、ロードの道に進むことなどは考えませんでしたか?

松浦:実力がなかったですね。国際大会の存在は知っていましたし、出たい気持ちもありましたけれど、そこまでのレベルではありませんでした。高校時代に表彰台に上がったことがなかったんです。それからロードよりもスプリントが好きでしたので、競輪選手の道を選びました。

ブノワ:それこそ高校生の時に強さを見せる選手もいれば、松浦選手のようにプロになってからグッと伸びる選手もいます。質問ではなくなってしまうんですが、短期登録で日本に来る選手などは「日本のプロ競輪選手のトップにいる人たちは国際大会でも活躍できるはずだ」と言うんです。だから松浦選手も十分そのポテンシャルがあると思うし、高校時代の話を伺うと「えぇ??」と思ってしまいますね。

松浦:日本の競輪の条件であれば、世界の選手相手でもある程度戦えるんじゃないでしょうか。でも競技となると、そのための練習をしなければならない。そこに自分の体が耐えられるか?とは思いますね。

ブノワ:そこはできるかどうかではなく「選ぶ」ものかもしれませんね。

ウェイトトレーニングはしていない

ブノワ:松浦選手はナショナルチームや外国人から聞いたトレーニングなどを取り入れていますか?

松浦:少し。でもウェイトトレーニングはまったくしていません。

ブノワ:なるほど。昔、私が教えていた選手の中で「ジムトレーニングなしでやってみよう」と1年間トレーニングをして、それで世界チャンピオンになった例があります。それもひとつのやり方ですね。……ということは、自転車を使った、筋肉を鍛える目的のトレーニングをしているのでしょうか?

松浦:とてもゆっくり乗る……時速15kmくらいでペダルに負荷をかけた状態で走る、そのようなことは行っています。

ブノワ:それはもはやジムトレーニングですね(笑)ちなみに、松浦選手にコーチはいるのでしょうか?

松浦:コーチはいません。自分でその日の気分とか、体調に合わせて日ごとにメニューを決めています。でも常にそうではなくて、きちんとプランニングをして、「決めたことをやる期間」もあります。

攻守交替、松浦選手からの質問

松浦:今の競輪のギアを踏むために、僕はほとんど競輪用のギアしか踏まないんです。それ以上重くしたり軽くしたりすることは、トレーニングとして必須のことだと思いますか?

ブノワ:一緒のギアでトレーニングを続けるのは良くないです。トレーニングでは軽いギアから重いギアまでやった方が良いと考えています。というのも人間の体は「慣れ」てしまうので、ショックを与え続けることが必要なんです。

重いギアを踏むなら乳酸に耐えられる体にする、軽いギアでハイケイデンスで踏むなら「脚を回す」ことや「頭と身体を高回転状態でリンクさせる」など、様々な目的が発生します。実施する内容によって目的は様々ですが、色んなことをして体に刺激を与え続けるという点で、様々なギアを試した方が良いと思っています。

ただし、見方を変えれば、少し話は変わります。ハイケイデンスの練習なら同じギアで下り坂を使えば出来ますし、逆に坂道を登ることで重いギアでのトレーニングと同じような練習ができます。そういったやり方をするなら、同じギアでも刺激は与えることができますよね。

松浦:僕はゆっくり時速15kmで乗る練習とか、電動ローラーで時速100km超えでもがく練習などをしているんです。それである程度刺激はある、と思って大丈夫でしょうか?

ブノワ:間違ったやり方ではないと思いますよ。様々な刺激を使って練習することが大事な点です。また「どこまでいじめ抜くか」という点も考慮してプランを作ることが大事ですね。

それからもうひとつ大事なのは、『トレーニングを楽しむ』こと。厳しい練習の中にも楽しみを見つけて、トレーニングを続けたり探究できるようにすることが大切です。場所を変えてみるとかね。ナショナルチームは海外合宿をすることがありますが、練習内容は変わらなくても効果はまったく違ったりするんです。

これはみなさんに聞いてるんですが、松浦選手はギア規制についてどのように思いますか?

松浦:僕個人としてはすごく嬉しいルールです。「世界と戦うこと」を想定するならば規制を緩和したほうが絶対良いとは思うのですが、競輪だけを考えると、ギアを上げることによって怪我と事故が増えるんじゃないかと思いますね。

ブノワ:ラインがなくなってしまえばギアを上げてもそういった問題は起こらないと思うのですが……きっと松浦さんはそれはお好きじゃないですよね?

松浦:そうなったらそうなったで、それに合うようなトレーニングをします(笑)でも中を突っ込んでくる選手がいるので、その辺りのルールが変わらないことには、やはり事故が起こるのではないかと思います。

ブノワ:「(競輪界全体として)最近は落車が多い」と言う人もいます。松浦選手はそのように感じますか?

松浦:3〜4年前がかなり多かった気はしますね、そこからだんだん減っているような気がしています。選手自身の意識が少しずつ変わっているんじゃないかと思います。事故を起こさないよう、冷静に走れる選手が増えつつあるのではないでしょうか。

甘いもの大好き!

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