ロード競技をメインとしていた学生時代から競輪選手2200人のトップ9に上り詰めた男、守澤太志。インタビュアーとしてお招きした自転車トラック競技ナショナルチームのテクニカルディレクター、ブノワ・ベトゥ氏に「長く競輪選手を続けるため」の自身のスタンスを語っていただいた。
インタビュー後編では守澤選手から見るナショナルチームの姿や、2人の意外な接点などをお届けしていく。
競技のレースは「結構みています」
ブノワ:競技のレースをご覧になることはありますか?
守澤:結構みています。世界選手権も見ましたし、やっぱりハリー・ラブレイセン(オランダ)のレースはよく見ますね。
ブノワ:日本のナショナルチームメンバーで、誰が一番才能があると思いますか?
守澤:う〜ん……みんな同じくらいの感じですよね。みんな強いのですが、脇本雄太選手、新田祐大選手、深谷(知広)なんかみたいな飛び抜けた感じはしないというか。
ブノワ:やはりパリオリンピック世代より、東京オリンピック世代の方が突出していた印象でしょうか?
守澤:特徴というか、強みがあったと思います。今の選手たちは強みが見えてこない感じがします。脇本選手だったら長く行けるし、新田選手だったら1周のキレとか。そういうのがあまり見えない気はします。
ブノワ:興味深いです。
守澤:レースしか見ていないので、実際数字としてどうなのかはわかりませんが……「レースの中で見えない」だけなのかもしれません。
ブノワ:レースを見ていれば十分です。そこにすべてが現れますから。
守澤:確かに、レースで出せないと意味がないですしね。
ブノワ:競輪でも同じでしょうが、トレーニングでいくら強くても結果のでない選手はいると思います。それを言うと、(その逆である)守澤選手はおそらくメンタル面でも強いですよね。
守澤:そうだと思います。僕は常に平常心でいるよう、集中しすぎないようにしていますね。