強さより、長さを求めたい
ブノワ:守澤さんはこれから何歳まで選手として続けていくつもりですか?
守澤:70歳!これは本当にデビュー時から言ってるんですが、長くやることが目標なんです。強くなるより、長くやる。70歳までやるために、今の「力を使わずに乗る」ポジションを出しているんです。
ブノワ:では、練習もそこまでハードにはしませんか?
守澤:ナショナルチームだと4年刻みですよね。「(オリンピックに向けて)この4年頑張れ」ってできますが、競輪選手はここから先20年、30年あります。だから短期間だけ頑張っちゃうと、燃え尽きちゃうんです。僕はやるときはやりますけれど、ナショナルチームほどはできないし、しないようにもしています。それはKEIRINグランプリ前でも変わりません。
ブノワ:なるほど。しかしそのような練習を続けていると、自分がどこまでできるのかが気になりませんか?
守澤:たぶん競技のための練習でしたらもっと限界までやるべきなんだと思います。でも競技のトレーニングが全部競輪に活きるかというと、そうでもないと思っています。例えば追走技術なども競輪では必要ですが、ナショナルチームではあまりやらない練習だと思います。競技は真っ直ぐ走るけれど、競輪では後ろを見ながら走る必要がある。競輪では色々なことができる必要がありますし、特に僕は追い込み選手です。そこまで競技力、速さを求めてはいない、というのが正直なところです。
競技は、例えばタイムなどの「自分の限界」を知ることが必要かもしれませんが、競輪は「結果を出すことがすべて」です。パワーが弱かろうが優勝した選手が強いと言われる世界ですから、「自分の限界」は求めていません。
100%のトレーニングをしたとしても勝てるのかわからない。だったらそのリスクを負うよりは、80%のトレーニングで勝てる術を模索したいです。
「自分に期待していない」
ブノワ:おっしゃることはよく分かります。でも私自身が「自分の限界を知りたい」と思ってしまうタイプなのもあるんですが、個人的に「限界を知りたい」と思うことはないのですか?
守澤:ナショナルチームの人たちは能力値がすごいので頑張ればタイムが出ると思うんですけど……本当に、何をしても、僕は出ないんです(笑)
様々なことを試したのですが、本当にタイムが出ないですし、練習でも弱くて。練習で新山(響平)と駆けたら、下手したら離れちゃうし。なんだろう……自分にあまり期待していないんです(笑)
やっぱりナショナルチームの練習は競輪選手の間でも流行っていますし、(渡邉)一成さんとかに教えてもらって、試したことはあるんですよ。ちょっとは強くなりましたが……
ブノワ:なるほど。因みに250mのトラックを走ったことはありますか?
守澤:講習会で走ったことはあります。
ブノワ:250mバンクはスピードが出るので楽しいですよね?
守澤:その時はハロンで10秒5くらい出ました。「結構出るじゃん!」とは思ったんですが、乗り方が250mに合ってないんですよね。Gに負けちゃって、耐えられない感じがありました。250mには250m用のポジションがあるんでしょうね。
ブノワ:その通りです。でも10秒5は全然弱くないですね。
守澤:僕もびっくりしました。その頃は一成さんとそういう練習をしていたので、その影響かと。今だともっと遅いと思います。