決勝戦:ラスト1周で「いける!」
Q:ではいよいよ決勝戦を振り返っていただきます。
決勝に上がることが最低目標でしたので、それをクリアできたのは良かったです。そこまでは良かったです。
Q:大歓声の中でのレースでしたね。
ほとんど聞こえてませんでした。歓声が大きすぎて、逆に耳に入らなかったです。でも言語がわからないのは大きかったですね、「自分の応援だろうな!」って思うこともできたし(笑)
応援されてると1.5倍くらい強くなるタイプです。観衆を味方につけていました(笑)
Q:序盤は4番手の位置でしたが、これに関しては?
昨年のチャンピオン*が私の前でした。彼女を警戒していたし、彼女の動きを見て仕掛けようと思っていましたので、位置はとてもラッキーでした。
※リー ソフィー・フリードリッヒ(ドイツ)
Q:レースが進むにつれて、後方選手が上がってきます。
はい。でもここでは何も思っていませんね。だって目の前にチャンピオンがいるから。
Q:残り3周でそのフリードリッヒが動きます。
一瞬フリードリッヒが前の選手に合わされたように見えたので、大丈夫かな?と思いました。その時に自分がもうちょっと前に出られていたら、結果は変わっていたでしょうね。
Q:そしてラスト2周は長い外並走です。
ここから勝負だ!と思って、本気で踏んでいきました。でもフリードリッヒが強くて、バック(残り半周)では負けを確信しました。「はい、すいませんでした……」って気持ちでした。
Q:でも力と力のぶつかり合い、という感じのレースでした。「これはいけるかも!」と思ったタイミングはありましたか?
思っちゃいました。ラスト1周で「いける!」と思ったんですけど、バックで「もう無理!」と思いました。早かったです(笑)
Q:半周で心境が変わったんですね。
ラスト1周で「いける!」って思った時は、相手がそこから失速すると思ったんです。でも彼女、失速しなかったですね。「おかしいな……」と思いましたけど、バックでは負けを認めました。
Q:見ている側としては、外並走からの2着で「よく保ったなあ」という感もありました。ご自身としてはラスト1周ではキツさはありましたか?
キツくないですね。さっきも言った通り、走っててもキツい感じがないんです。だけど何故か、前に出られなかった……
脚を使ってる感覚はなかったです。それでも前に出られなくて、強かったですね。後退することはないんですけど、前に進むこともできなかった。
Q:「本人しかわからないワールド」ですね。
「1回前に出られないと沈むんだな、私」と思いました。でも後から映像を見ると、タイミングも悪かったですね。
自分が思うより世界との差は開いてる
Q:昨年(2021)とはレース展開も内容も大きく違って、順位自体は同じだけど、表彰台のトップに近づいたように感じます。ご自身としてはどう評価していますか?
去年より力の差は埋まってきたと思います。「あとちょっとだな」とは思うけど、2023シーズンからオリンピックポイントの計上が始まってきて、もっとみんなが力をつけてくると想定されます。今自分が思ってる力の差を、「それより開いてる」と思って次に臨まないと、勝てないと思います。
だから今回の結果に喜ぶことはせず、「もうちょっと強くなんなきゃな」くらいの気持ちで受け止めています。
Q:佐藤選手の得意な種目はケイリンだと思いますが、この種目における課題はありますか?
出来ないわけではないのですが「トップスピードに自分で持っていけない」ですね。スローな展開より早い段階でずっと流れてるような展開が好きなんですが、スローな展開でも自分から2周半駆けて逃げ切れるような選手になれれば、「なんでもできる人」になれるのかなと思います。
Q:今後の佐藤選手の成長が楽しみです。
頑張ります!
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