慌てたら「負け」 常に主導権を握っている脇本雄太

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メンタルが重要 東京2020を経た脇本の経験

Q:慌てないながらも、S級S班の選手と走る時は、さすがに緊張しますよね?

全くしません。F1もG1開催の決勝でも、いつも一緒です。

Q:どうやったらそのようなメンタルの状態になれるのでしょうか?東京オリンピックでの経験が関係していたりしますか?

F1開催でもプレッシャーを自分にかけてみたり、あえて自分を緊張させるようなトレーニングをしていました。でも最大の原因は東京オリンピックに出場したことですね。東京オリンピックでの緊張、プレッシャーが大き過ぎて……あれ以上の場面を味わうことは今後の人生では無いと思います。

脇本雄太 Yuta Wakimoto (JPN), Men's Sprint 1/8 Final AUGUST 5, 2021 - Cycling : during the Tokyo 2020 Olympic Games at the Izu Velodrome in Shizuoka, Japan. (Photo by Shutaro Mochizuki/AFLO)

Q:「東京オリンピックがあったからこそ、今の脇本選手がいる」と言えますか?

メンタル面に限った話ですが、そう言えます。自国開催のオリンピックという人生最大の緊張を味わうことができて、自分は運が良かったと思っています。

Q:ちょっと話が逸れてしまいますが、寝ている時に今でも東京オリンピックの夢を見ることなどはありますか?

実際に起こったことではありませんが、ウォーミングアップの時間を間違えて、ベストコンディションでレースに臨めない夢とか、悪夢を見ることはあります(笑)

Q:東京オリンピックを選手として経験していない若手がこれからパリへと挑みますし、競輪では若手の台頭も見られると思います。そういった自分より若い人たちに感じることはありますか?

僕も以前はそうだったのですが、今の選手たちは、負けることよりも、怒られることを恐れている印象があります。怒られても、勝てば問題ないっていうぐらいの境地に行けるかが課題です。勝負なので100%勝てる見込みなんて誰にもないんです。負ける時は負けます。でも勝ちにいって負けるのか、無難に走って負けるのか、勝負するリスクを取れるかが重要です。先行態勢に持って行って、自分が思いきり駆けられるところを探して、それで負けたら仕方がないみたいな。

日本の競輪では、先輩が走り方を強要するのも良くないと思います。選手たちは先輩に怒られるリスクじゃなくて、レースに勝つためだけのリスクを負うべきです。

脇本雄太, 男子スプリント, 予選 200mFTT, 2022全日本選手権トラック

あとは出し惜しみしないこと。

例えば、競技ならば決勝に向けて準決勝で温存して勝とうとすると、世界選手権のような舞台では負けてしまいます。世界選手権は1年に1回のチャンスなんだし、その1本にフルパワーを出して、ちゃんと次のレースのためにケアをすれば全く同じ状態で走れると思います。競輪でも一緒ですね。

KEIRINグランプリでは笑顔を……

Q:ちなみに『KEIRINグランプリ2022』への出場権を獲得していますが、KEIRINグランプリでも緊張はしませんか?

しません。1本1本のレースで、常に1着だけを見ているので、どのレベル、どのステージでも全部一緒です。

Q:でも勝った時は流石に嬉しいですよね?特にKEIRINグランプリでは。

そうですね。でも想像できないです。

Q:『KEIRNグランプリ2022』で優勝したら、流石にニコッと笑ってくれますか?

はい(笑)

※脇本選手はカメラが向くと笑顔を消すという技を持っています

脇本雄太, ジャパンカップ×HPCJC・中日スポーツ昇龍杯, 豊橋

実は把握している選手ごとの特徴

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