世界選手権でトラック競技の2017-18シーズンが終わりを迎えた。今シーズン大躍進の中長距離ナショナルチーム・ヘッドコーチのイアン・メルビン氏に、日本を率いて初となる世界選手権の感想、チームの今後について訊ねた。

来シーズン、より速く・強くなり世界選手権へ戻ってくる

アジア選手権後のスランプ

トラック世界選手権2018は、山あり谷ありでした。未来の希望を与えてくれる出来事もあれば、少し後退とも言える様な事もあります。

トラック世界選手権2018の記事一覧

直前のアジア選手権トラックでは他チームからプレッシャーを受けつつ、沢山の金メダルを獲りました。しかしその後、メンタルもフィジカルもスランプに陥った感があります。

【男子編】大成功のアジア選手権トラック2018を振り返り、世界選手権の結果を占う

【女子編】頂きは見えた、今は何合目だ?アジア選手権トラックから世界選手権の結果を占う

もちろん、それを打開しようともしましたが、何人かの選手は世界選手権の期間中、次第に元気が無くなっていく様な、そんな姿が見えたかもしれません。

大きな大会へ連続して出場するのは難しいことだと思います。
(アジア選手権が2月20日まで、その後2月28日からが世界選手権)

才能溢れる選手がいる

ただ、全体的にはポジティブに捉えています。今シーズンは大きな成長を果たせました。このチームと出会った当時と比べ、女子チームパシュートは約13秒、男子は約8秒タイムを縮めています。

さらに我々には、世界のトップと戦える才能に溢れた2人のオムニアム選手がいるので、期待や希望を抱くことができています。

良い結果が出なくなった時、初めてわかること。

我々は今シーズン、大きな成長を果たしました。しかし、良い成果はいつか出なくなる。チームの皆にも、そのように言ってきました。良い結果が出なくなった時、初めて自らの立ち位置が明確になる、とも言ってきました。そして、そこからまた始めれば良いのです。

梶原悠未

まあ良い結果が出る時期がここで止まってしまったことは残念だし、止まって欲しくもありませんでしたが、この結果が選手たちのハングリー精神に火をつけ、来シーズン再び戦う力になってくれるだろうと思っています。

我々は来シーズン、より速く、より強くなり世界選手権へ戻ってきますよ。私も新たなシーズンへ向けた準備ができています。何と言ってもオリンピック出場を懸けたポイント争いが始まりますからね。

チームの誰もが現状に満足していない

中長距離チームの練習拠点というのは設けておらず、通常は遠隔で指示し、各自でトレーニングを行います。

まず、世界選手権の後は休暇を設けます。身体にも心にも休暇は必要です。

その後はロードキャンプをヨーロッパで1ヶ月間行い、その後はアメリカ、8月にはアジア競技大会、そして少しの休暇を挟み、トレーニングを再開してワールドカップシーズンへと入る予定です。

常に一緒に居るわけではないですが、多くの時間を共にはするでしょうね。単に、物理的な拠点という概念が無いだけです。常に世界中を飛び回ることとなりますが、国際大会で勝てるようになるには必要なことです。

チームの誰もが現状に満足していません。私も選手たちも、目指すところは更なる高みです。まだまだやることは山積みですよ。