前編では深谷知広のナショナルチーム引退の理由について語ってもらった。決断に至るまでは様々な要因があり、何か一つが理由という話ではない。しかし決断したら決してブレないのが深谷知広であることを読者の皆さんはもちろん、我々も熟知しているところだ。

「人生における価値の置き所が変わった」深谷知広 ナショナルチーム引退の真相【前編】

ここからは深谷知広ナショナルチーム引退インタビュー後編。
前編で「100%でやることに臨んで欲しい」と語っていた深谷の、「競技での100%」とはなんだったのか?そして競技をやったからこそ感じる競輪についての意見とは?

スプリントは100%、チームスプリントは300%

Final / Men's Team Sprint / TISSOT UCI TRACK CYCLING WORLD CUP V, Brisbane, Australia, 深谷知広 長迫吉拓 新田祐大

Q:(前編インタビューからの続き)深谷さんにとっての100%はどうだったのでしょうか?

自分は「楽しむ」でした。絶対にこのメダルを獲るなどという考えは無かったです。100%自分のやりたいことをやる。だからケイリンという選択肢をなくして、スプリントだけを100%にしました。それが東京オリンピックの選考に不利になるとも分かっていたし、でも100%スプリントをやりたいという思いがあったから、全然後悔もないし、楽しかったです。

※東京2020オリンピックで日本チームがケイリンでのメダル獲得を目指していたが、深谷選手はケイリンには出場を希望せず、ひたすらにスプリントとチームスプリントで戦った。

Q:その100%で挑んだスプリントですが、最も楽しかった、嬉しかったレースは?

ワールドカップで初めてチームスプリントで金メダルを獲った時です。

Q:えっ?この流れでチームスプリント(笑)?

スプリントはもちろん100%なんですけど、チームスプリントって300%なんですよ。

個人的な100%はもちろん初めてスプリントでメダルを獲った時、加えて3回連続で表彰台に立ったことは個人的には100%嬉しいですが、チームスプリントは違った魅力があります。

話は飛んでしまいますが、競技のケイリンは好きじゃないけど、日本の競輪は好き。それはきっとライン戦、チーム戦が好きなんです。あの2大会(2019-20シーズンのワールドカップ第4戦&5戦)、チームスプリントで金メダルを獲った時は最高でした。

Q:スプリントでマテウス・ルディク(ポーランド)とバンバンやってた時が挙がるかと思いましたが……

Final / Men's Sprint / TISSOT UCI TRACK CYCLING WORLD CUP IV, Cambridge, New Zealand, 深谷知広 Mateusz Rudyk マテウス・ルディク

あれも100%です。そしてチームスプリントも100%なのですが、そこにチームメートの100%が重なってくるので、違った楽しさがあります。

ナショナルのやり方は、競輪選手にも有効?

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