2023年6月のアジア選手権にて、More CADENCE編集部は隠れた才能に出会っていた。
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それは自転車をより速く走ることでもなく、上手く走ることでもない。はっきり言ってオリンピックを目指す選手として必要な要素ではないのだが……しかしまごうことなき「人々を喜ばせること」に対しての才能。
それは池田瑞紀選手の「リアクション」。ドリアン企画で発揮された才能だ。
『ドリアンを食せ』2023アジア選手権 特別企画 (youtube.com)
「そんな池田選手に、解説をしてもらったら面白いのではないか?」ということで、特別企画。
「もしも池田瑞紀が解説をしたら〜1kmタイムトライアル in アジア選手権(同期の中石湊が苦しんでいるところならば怒られないだろう)編〜」をお届けいたします。
もしも池田瑞紀が解説をしたら
Q:えー初となりますね。池田瑞紀解説員、よろしくお願いします。突然ですが1kmTTを走ったことはありますか?
練習としては走ったことがあります。タイムはえーと……1分15秒とか?高校生の時です。でもそれより、2kmを走る時の最初の1kmの方が速かったです。ってことは、出しきれてないんですよね(笑)
Q:チームパシュートもそうですが、スタート前のカウントダウンの時は緊張しますか?
めっっっちゃします!「ほ、ほんとに2km行くのか〜……ほんとに!?」って思ってるうちに「ポーン(スタートの音)」ってなるじゃないですか。「ぎゃ〜!!!やばいやばい」って。
でも、発走機よりも下で椅子に座ってる時がもっと緊張します。ほらあそこの選手も……(指差す)
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この場所。
私はあのタイミングが一番やばいです、だから脚を動かしてたり何かしてないとダメ。心臓の音を感じてます。
Q:毎回ですか?
毎回ですよ!どんな大会でも!
Q:緊張を解くためのワザとかはありますか?
私にワザなんてありません!今まで練習した自分を信じるしか、それしかない……それしか方法がないです、私は。
終わったと思った瞬間に「◯◎△※〜〜〜(悶絶)!!!!!」
Q:ではそこに走り終わって出し切った選手がいますが、あの時はどういう心境ですか?
※アジア選手権で走り終えた選手が気絶しそうになっていました
(タイムを見て)1分3秒!?じゃあもう脚がもげてると思います。
Q:池田選手はレースの時、終わったら脚がもげそうになりますか?
いつもそうです!もう脚がもげそうです、おっかしくなってるんですよね!
痛すぎて「んおお〜!!」ってなってるのに(ピスト自転車の構造上)止まらないじゃないですか。レース中はアドレナリンも出てますから痛みを感じないんですけど、「終わったっ……!」って思った瞬間に「◯◎△※〜〜〜(悶絶)!!!!!」って。
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終わる直前
Q:言葉になってないですね(笑)
やーーーーーーーーーばいんです!なんて表現すればいいかわからないです!でも本当にあれはやばいです。
Q:男子1kmTTでは終わった後に選手たちが倒れ込んでいますが、あそこまでは?
あそこまではやったことないです。走り終わって痛いけど、脚を回してる方が楽になるってわかってるじゃないですか、それもあるし……あそこまで引き上げるのはやり方がわからないです。
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2023年5月の全プロにて、1kmTT終了後の松井宏佑選手
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同じく2023全プロ、吉田有希選手
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やはり格の違いを見せるのは新田祐大選手
Q:1kmTTは250mバンクだと4周ですよね。頭から突っ込んでいくと、たぶん3周くらいからキツいのかなと思うんですが……
私は、一番キツいのは「(残り)2」が見えた時だと思うんですよね。
初めの1周は立ち漕ぎだから「うりゃ〜!」っていけるけど、
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2022全日本トラックの小原佑太選手
残り2周がめっちゃキツい。
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ラスト1周は「あと1周だけ!」って思えるけど、残り2周は
「あ〜〜〜〜〜あと2周〜〜〜〜〜!!!」
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って。そこがマジできついと思います。
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1kmTTに挑む男たちは、いつもヤバそう