会場を華やかにする意図とは?

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キッズは多いけど・・・BMXレースの競技人口事情

2020全日本選手権BMXレース

今回参加したキッズは、下は5歳から16歳までで男女合計156名が参加していて、他の自転車競技の中でもキッズが中心となっている数少ない種目だと思います。年齢ごとにカテゴリーが別れていて、最も参加人数が多かったカテゴリーが9−10歳男子で40名の参加がありました。それだけの人数がいると「準々決勝」の段階が生まれるんです。予選、準々決勝、準決勝、決勝の流れですね。

これが日本ではなかなか出来ないことでした。「予選を含めて3回走って終わり」しか知らない日本の子どもたちが海外のレースに出た時、いつも3回しか走ってないのに・・・・・・となったら体力的に厳しいですよね。そういったところでレベルの差は自然に生まれてしまいます。

Q:今大会ではエリートに出場したのが男女合わせて26人に対し、キッズが156人。もちろんキッズの全員がこれからも続けていくわけではないと思いますが、この人数の差はどのように捉えていますか?

9〜10歳くらいまではBMXを続けますが、中学に入ったら部活にシフトチェンジしてしまうというのが長年の傾向です。「保護者ありきのスポーツ」という面も大きく、毎日毎日サポートを続けるのは、親としても厳しいのです。

高校生くらいになるとジュニアカテゴリーに突入し「世界と戦えるかどうか」を問われてきます。遠征費が捻出できずに離れていく例も多いです。それを連盟でサポートできれば良いのですが、まだ上手くできていません。

そんな事情を乗り越えてエリートまで上がると20代。今度は就職のことが頭を過るようになります。せっかくここまで続けて来たのに、将来のことを考えてやめてしまうパターンも多いです。年齢が上がるにつれて競技人口が減っていく、残念ながらそれが現状です。

中では結婚して子どもができた頃にお父さんとして復帰する例もあります。BMXは長く続けられるスポーツで、世界にはおじいちゃん、お父さん、孫の3世代でやっているライダーもいます。でもどうしても中間地点で生じるハードルを越えるのが難しい。そのハードルを越えることが出来るようにスポンサーを集めて大会を行い、賞金だけでも選手が生活できるようにしていく必要もあります。

Q:海外だと、BMXだけで食べていく例は多いのでしょうか?

国のバックアップもあるので、ないことはないです。とはいえ、そう多くはないですね、数えられるくらいでしょうか。その額だって、年俸1000万円なんて話があれば相当びっくりしちゃうと思います。その点、長迫は上手く選手生活を送っている方だと思います。

500社はあたった。練習とバイト、スポンサー探しに明け暮れた日々/長迫吉拓インタビュー前編

Q:ということを踏まえると、長迫選手は子どもたちに向けて「こんな生き方もあるんだよ」という良いロールモデルかもしれないですね。

そうだと思います。小さい頃からトップというわけではなかったけど、テクニックは長けていました。僕は彼に負けましたけど、ちょうど世代交代のタイミングだったのだと思います。企業さんとのお付き合いもうまくやってこれていて、プロの選手として活動する道を見せてくれていると思っています。

BMXを「食べていける」スポーツにしたい

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