ナショナルチーム中長距離の選手として、ジュニア時代から数々の国際大会で活躍をしてきた鈴木奈央選手が、ナショナルチームから退く決意を表明した。12月13日、2021全日本選手権が終わった後の会場では鈴木奈央選手と親しい観客から花束等が手渡される光景もあり「鈴木奈央が引退」という印象を抱いた方もいたはずだ。
![鈴木奈央, 女子ポイントレース, 2021全日本トラック](https://i0.wp.com/morecadence.jp/wp-content/uploads/2021/12/143-20211213-DSC05824.jpg?resize=1960%2C1307&ssl=1)
しかし、これは鈴木奈央選手にとって競技からの引退ではない。最適な表現としては「一旦離れる」だ。その真意を本人へのインタビューで紐解く。
ここで戦えるのかなぁ
![鈴木奈央, 女子エリミネーション, 2021全日本選手権トラック](https://i0.wp.com/morecadence.jp/wp-content/uploads/2021/12/120-20211210-AL101447.jpg?resize=1960%2C1307&ssl=1)
Q:ナショナルチームから離れる決意をした、そのきっかけは何だったのでしょうか?
リザーブとして参戦した世界選手権(2021年10月末)でのことです。
Q:世界の第一線で戦うモチベーションが保てなくなった、ということでしょうか。
はい。目標を見失ったというか、何を頑張ればいいのかわからなくなってしまって……。世界選手権という「目指さなきゃいけないもの」を見ていたはずなのに「ここで戦えるのかなぁ」という疑問や、不安の方が大きくなっていました。それが一番の理由です。また、レースに出れないことが悔しいはずなのに、そういった気持ちが以前より弱くなっていました。
チームパシュートで出場を目指していた
チームパシュートで東京2020オリンピックを目指していました。でも東京オリンピックに出られない(枠を獲得するためのポイントが満たせなかった)と確定した大会の後「女子のチームパシュートの強化を再開は、オリンピック後、直ぐには難しいかもしれない」とコーチから言われました。元々は「オリンピック後からチームパシュートをやる」と言われていたのですが……。
![Qualifying / Women's Team Pursuit / TISSOT UCI TRACK CYCLING WORLD CUP IV, Cambridge, New Zealand, 古山稀絵 吉川美穂 鈴木奈央 上野みなみ](https://i0.wp.com/morecadence.jp/wp-content/uploads/2019/12/2672.jpg?resize=1960%2C1306&ssl=1)
どんどん速くなっていく他の国のタイムを見ていて、自分たちも走っているからこそ他国の出したタイムがどれだけ大変なことかよく分かっています。だからこそパリでの活躍を目指すならば、他のチームの倍以上の密度で取り組む必要がありましたが、今でもチームパシュートの強化の方針は全く見えません。これでは”間に合わない”と思った部分もあります。
Q:そういった経緯の中で、自分の中にある「オリンピックの魅力」のようなものが薄れてしまった、などありますか?
オリンピックに対しての魅力は凄くあります。実際に東京2020オリンピックを観て、すごいなと感じました。でもそこで自分が戦える自信は、無くなってしまいました。
![リサ・クレイン Lisa Klein (GER), Women's Team Pursuit Final AUGUST 3, 2021 - Cycling : during the Tokyo 2020 Olympic Games at the Izu Velodrome in Shizuoka, Japan. (Photo by Shutaro Mochizuki/AFLO)](https://i0.wp.com/morecadence.jp/wp-content/uploads/2021/08/20210803-AB5I0611.jpg?resize=1960%2C1307&ssl=1)
東京オリンピックではドイツが2度も世界記録を更新し金メダルを獲得