ここで戦えるのかなぁ

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本職を主軸に

Q:今後のスタンスを教えてください。

これまでは競輪と中長距離を両方やっていましたが、比重は競技の中長距離に置いていました。これからは競輪の練習に重きをおいていきます。

鈴木奈央 競輪祭 小倉競輪場

Q:でも競技を辞めるわけではないですよね?

自転車競技はとても好きだし、大会は出るのも観るのも好きですから、続けていくつもりです。もし将来的にナショナルチームに戻りたいと思うタイミングがあれば、その時は全日本選手権で結果を出して戻りたいと思います。

だから「引退」ではなく「一旦離れたい」という感じです。

鈴木奈央, 女子オムニアム, 2021全日本トラック

2021全日本選手権では出場5種目中4種目で金メダル

Q:オリンピックを目指すわけじゃないし、もしかしたら短距離をやるかもしれないし、中長距離の他の種目をするかもしれない。けど、一旦距離を置くという感じですね。

そうです。

Q:それでも全日本選手権ではメダルを大量獲得していました。それで「やっぱり離れたくないな」とはならなかった?

う〜ん……9年間もお世話になっていますし、みんなと走ることは楽しいし、とても好きです。「ナショナルチームのみんなと一緒にいたい」という気持ちはとてもあります。

内野艶和 鈴木奈央 古山稀絵, 女子オムニアム, 2021全日本トラック

でも、ナショナルチームは「世界を目指す」場所ですから。それを考えると、自分の今の気持ちでは、今はここにいるべきじゃないなと思いました。だから決断をしました。これは世界選手権の後、隔離期間中にすごく考えて決めたことです。

ナショナルチームの鈴木奈央として出場するのは全日本選手権で最後だと思い、全日本に向けて気持ちや体のコンディションを整えました。その結果が、あの成績(※4冠)だったのかなと思います。

Q:モチベーションが違ったんですね。

はい。そして結果的に「モチベーションが高いことがすごく大切」と良くわかりました。世界で戦う時にはしっかりモチベーションを持たないと戦えません。だから現時点では「戻りたい」とは思えません。

鈴木奈央, 女子オムニアム, 2021全日本トラック

Q:全日本で結果を出したからこそ、気づきが大きくなったということですね。

その通りです。

鈴木奈央

2019年撮影

トップアスリートであっても様々な葛藤を持つことが明らかとなった今回のインタビューだったが、競技も競輪もまだまだ続けていく”意志”を改めて示してくれた鈴木奈央選手。彼女が新たに歩む道はどうなるのか。その動向に注目しよう。