WCCを支える「サテライトセンター」
世界の自転車競技選手を歓迎し、育成を行なっている「UCIワールドサイクリングセンター(WCC)」。その活動を全世界に広げ、より多くの国内自転車連盟とその選手たちを支援するための施設が「UCI World Cycling Sattelite Centre」(サテライトセンター)である。
現在、世界に存在するサテライトセンターは、日本・南アフリカ・韓国・インドにある4つ。それぞれの施設において、「WCC」同様に国外から選手たちを受け入れ、トレーニング等の支援を行なっている。中には才能発掘プログラムや、選手だけでなく指導者を育成する「コーチングトレーニング」などのプログラムも組み込まれる。
サテライトセンターでトレーニングを受けた選手の中には、「WCC」本拠地のスイスへ移り、世界中から集まった選手たちとのトレーニングに参加する者もいる。そうした選手を輩出していくのも、サテライトセンターの役割のひとつだ。
日本のサテライトセンター
世界に4つあるうちの1つである日本のサテライトセンターは、日本人選手たちの拠点であり、東京2020オリンピックの会場としても使用された「伊豆ベロドローム」だ。
2011年の開場から2015年までの間に、世界22カ国から約800人ほどの選手を歓迎してきた。この場所では、主にアジアの国々出身の優秀な若手選手に向けたトレーニングキャンプを実施している。
2019年トラック世界選手権でスプリントとケイリンの2冠を達成し、東京オリンピック女子スプリント銅メダリストのリー・ワイジー(李慧詩)も、「伊豆ベロドローム」でのトレーニングプログラムに参加した選手の1人だ。
詳しく知りたい方はこちらの記事を→「訓練、辛苦極」日本が誇る自転車競技普及センター/サイクルスポーツセンターの役割と魅力を探る
世界5つ目のサテライトセンター
2021年10月26日現在、世界に存在するサテライトセンターは上記の4施設。そして現在、ニコラス・ポールやクウェシ・ブラウンらを輩出した、トリニダード・トバゴに新たなサテライトセンターが誕生しようとしている。
トリニダード・トバゴの現地メディアによると、2015年に建設された国内唯一のベロドロームを拠点とするサテライトセンターの登録を、ベルギーのUCIオフィスにて行なっている最中だという。
無事に登録が承諾されれば、アメリカ大陸初のサテライトセンターとなり、その他4つのセンター同様にトレーニングキャンプや才能発掘プログラムが、アメリカ大陸・カリブ海諸国の自転車競技連盟を対象に実施されることになる。まさに、「WCC」の活動によって自転車競技・トラック競技が世界に広がっている証拠である。
参照:Torinidad and Tobago NEWSDAY
以上本記事では、世界各国の自転車競技選手に十分なトレーニング環境を提供し、国際舞台での活躍を支援している「UCIワールドサイクリングセンター(WCC)」についてご紹介してきた。「WCC」の活動を通し、今後様々な地域で大会が開催され、より多くの国の選手たちが活躍していくであろう自転車界・トラック競技界から目が離せない。
UCI「UCI World Cycling Centre track cycling athletes living the Olympic dream」