「WCC」から東京オリンピックに出場したトラック選手
「UCIワールドサイクリングセンター(WCC)」が支援・育成を行なってきた選手の中から、以下の男子4人の選手が東京2020オリンピックトラック種目への出場を果たしている。なお、4人全員がオリンピック初出場である。
名前 | 国名 | 生年月日 | 東京オリンピック 出場種目 |
結果 |
ニコラス・ポール | トリニダード・トバゴ | 1998/9/23 | スプリント ケイリン |
6位 失格 |
クウェシ・ブラウン | トリニダード・トバゴ | 1994/1/31 | スプリント ケイリン |
30位 9位 |
ジャイール・ジョンエンファ | スリナム | 1993/10/19 | スプリント ケイリン |
13位 4位 |
ジェーン・スパイズ | 南アフリカ | 1989/11/27 | スプリント ケイリン |
27位 27位 |
ニコラス・ポール(トリニダード・トバゴ)
主な成績
開催年 | 大会名 | 種目 | 結果 |
2016 | CACゲームズ | チームスプリント | 優勝 |
2017 | パン・アメリカ大陸選手権 | チームスプリント | 2位 |
2019 | パン・アメリカ大陸選手権 | スプリント | 優勝 |
2019 | パン・アメリカンゲームズ | チームスプリント | 優勝 |
2019 | パン・アメリカンゲームズ | スプリント | 優勝 |
クウェシ・ブラウン(トリニダード・トバゴ)
主な成績
開催年 | 大会名 | 種目 | 結果 |
2016 | CACゲームズ | チームスプリント | 優勝 |
2017 | パン・アメリカ大陸選手権 | チームスプリント | 2位 |
2018 | パン・アメリカ大陸選手権 | ケイリン | 3位 |
カリブ海の島国、トリニダード・トバゴ出身のニコラス・ポールとクウェシ・ブラウン。同国から東京オリンピック自転車競技に出場した、唯一の男子選手たちだ。
ポールは2019年に開催された「パン・アメリカ大陸選手権」にて、200mFTTで9秒100を記録し世界記録を更新。東京2020オリンピックを終えた2021年9月現在でもこの記録は破られておらず、現世界記録保持者となっている。
一方のブラウンはケイリンを得意とし、アメリカ大陸だけでなくヨーロッパ諸国を含む世界各地でのレースを経験してきた。ブラウンは以前、「伊豆ベロドローム」にて開催された「2016 ジャパン・トラック・カップ II」の男子エリート・スプリント種目にも出場しており、河端朋之(5位)や小原佑太(14位)らが出場する中、6位に着けた選手である。
トリニダード・トバゴは2015年に完成した国内唯一の屋内ベロドロームを持つものの、コーチやトレーナー、メディカルスタッフなどの人的資源が十分でない。2人は、「WCC」の存在について以下のように語っている。
「ここにはトレーニングに共に励む仲間がいる。私生活も共に送ることで常にお互いを刺激し合っている」(ニコラス・ポール)
「トレーニングを行う場所にはいつもメディカルスタッフがいてくれる。だからこそ自分を限界まで追い込むことができる」(クウェシ・ブラウン)
参照:『2016 ジャパン・トラック・カップ II』 , 2016 CAC Games , 2017 Pan-American Championships , 2018 Pan-American Championships , 2019 Pan-American Championships , TT National Cycling Velodrome
ジャイール・ジョンエンファ(スリナム)
主な成績
開催年度 | 大会名 | 種目 | 結果 |
2016 | パン・アメリカ大陸選手権 | スプリント | 2位 |
2017 | パン・アメリカ大陸選手権 | スプリント | 3位 |
2019 | パン・アメリカ大陸選手権 | スプリント | 2位 |
13歳で自転車競技を始めたものの、自国にベロドロームがないため18歳の時にアメリカに移住。その後2019年に参加した「WCC」でのトレーニングキャンプにて、東京2020オリンピックを目指すための正式な「WCCアスリート」として、スイスに留まりトレーニングを継続するオファーを受けた。
2019年に出場した「パン・アメリカ大陸選手権」では、スプリント予選の200FTTで9秒249を記録し世界記録を更新したものの、同大会後発のニコラス・ポールに塗り替えられてしまった。
ジャイール・ジョンエンファは、「WCC」について以下のように語っている。
「マイアミに移住した後も、トレーニングは1人かコーチと2人だけで行っていた。でも、WCCにはお互いを刺激し合える仲間がいる。今まで、試合にチームとして参加することや、メカニックが同伴してくれることなんてまずなかったことだから、素晴らしいよ。その差はすごく大きい。
ずっとオリンピックに憧れていたけど、ベロドロームを持たないスリナムからの出場は不可能に等しかった。でもロンドンオリンピックで(トリニダード・トバゴの)ヌジサネ・フィリップ選手を見て、自分にもできるはずだと思ったんだ。それがオリンピック出場を目指し始めたきっかけだよ」
参照:2019 Pan-American Track Cycling Championships , 2017 , 2016
ジーン・スパイズ(南アフリカ)
主な成績
開催年度 | 大会名 | 種目 | 結果 |
2017 | アフリカ大陸選手権 | スプリント ケイリン 1kmTT チームスプリント チームパシュート |
優勝 |
オリンピック出場を目指して2019年に「WCC」のプログラムに参加したジーン・スパイズは、以下のようにコメントを残している。
「仲間に恵まれているよ。毎日世界チャンピオンとレースしているような感覚。楽しくてすごくハードで、本当に有意義な機会だよ」