この環境は若手にとって・・・

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「己の身体を理解する」とは?

Q:さて、チームスタッフからタレコミをいただきました。深谷選手は”己の身体を理解している人”とのことですが・・・

20代前半に様々なマッサージやコンディショニングを受けたので、それもあるでしょうね。不調があってもある程度までは自分でコントロールできますし、張りがあってもマッサー任せにせず、自分でほぐしています。そうやって、自分の体が何にどう反応するか、分かってきました。勉強というよりは、若い頃からの経験だと思います。

Q:最初から出来ていたわけではないのですね。

小学校5、6年の頃から、分離症(成長期のスポーツ選手に多く発症)とギックリ腰を持っています。以来ギックリ腰とは付き合い続けていて、今も年に2~3回は危ない時があります。

最後に発症したのはKEIRINグランプリ2017の前夜祭を欠場した時でしたが、あの時はやばかったですね。チームスタッフに家まで送ってもらったけれど、着替えも出来ず・・・動けなくて、ずっと横になって、寒さもあって低体温症のようになり、ガタガタ震えていました。腹筋と背筋のバランスが崩れると直ぐダメになるので、その調整の仕方が大事です。

Q:調整は自己流でしょうか?

はい。ほぼ自分でやります。ですからマッサージを受けたのは・・・・・どれくらい前か覚えていません。長距離移動の際にサッとやってもらうことはありますが、大抵は部屋で、自分でやっています。極力自力でのコンディショニングを心掛けています。

Q:自己流とのことですが、どんなやり方でしょうか?

マッサージ用のボール1つあればできます。野球ボールやソフトボールでも大丈夫ですが、ゴルフボールだと少し届かない場所があります。気になる箇所をゴリゴリやります。

Q:一般の人にも良さそうですね?

一般の方なら、足首から下だけちゃんとコンディショニングすればほとんど問題ないと思います。

Q:それ、今度教えてもらえますか?

はい。世の中の半分くらいの人の腰痛を治せる・・・と自分では思っています(笑)

Q:いつも自分の身体を触っていれば、変なところがあれば気づくのでしょうか?

はい。痛みの出るパターンも分かりますし、筋肉が足りないとか、バランスが悪い部分なども大体分かります。言葉にするのは難しいですが・・・。

強さの秘密はギックリ腰

Q:SNSでも「己を知らなければ鍛える部分もわからない」といったことをおっしゃっていましたね。

そうですね。「どうやったらスタートが速くなれますか?タイムが出ますか?」のような質問をいただくことがありますが、答えは「まずは自分を知ること」だと思います。これはアスリートに関わらず、全てにおいて言えることだと思います。どの仕事でもそうじゃないですか?

Q:そのようなマインドになったのはギックリ腰があったから?

それはかなり大きいと思います。中学校の時は陸上をやっていましたが、100mをゴールして病院に直行、そのようなことが何回もありましたし・・・・・・

Q:それはどういう・・・?

走ってる途中でギックリ腰になって、そのままゴールして病院へ・・・というのを繰り返してました。小学校6年位から、ずっと整体通いです。不調が多かったからこそ、今のような考え方になったと思います。

競輪学校(現:日本競輪選手養成所)にいた頃、工具を取ろうとして固まったこともありました(笑)教官が心配して部屋に来てくれましたね。

Q:深谷選手の強さの根源はギックリ腰から来ていたのですね。

腰ヨワイヨワイ選手ですから(笑)

と、意外にも腰が弱いことを告白してくれた深谷選手。激しく辛い経験をし、その経験を活かせたからこそ今の深谷知広があるということだ。「己を知ることが大事」という言葉は、アスリートだけでなく、我々一般人も心に留めておく必要がある。

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