現在のトラック競技種目
トラック競技の歴史を辿る前に、まずは現在のトラック競技についておさらいしよう。
トラック競技種目は、短距離種目(sprint)と中長距離種目(endurance)に大別される。現在、UCIのトラックの種目として規定される主なものは以下の通り。
短距離種目
スプリント
チームスプリント
タイムトライアル
ケイリン
中長距離種目
個人パシュート
チームパシュート
ポイントレース
マディソン
スクラッチ
オムニアム
現在はこの10種目が主な種目として取り上げられるが、最初からこの数だったわけではなく、またそれぞれにルール変更、名称変更なども起こっている。
トラック競技の歴史は150年
トラック競技の始まりは1870年代まで遡る。
産業革命により経済発展が成熟を迎えたイギリスで、トラック競技は新しいスポーツとして注目され始めた。競技場の形も現在のべロドロームと同様に、室内の走路に木製の板を張り、「カント」と呼ばれる傾斜がついていた。
その後イギリス・ヴィクトリア時代(1837-1901)後半にかけて、次々とべロドロームが建設されていき、トラック競技はイギリス国内で盛んになっていった。
初の世界選手権は1893年
19世紀後半にイギリスで人気を博したトラック競技。1893年に初のトラック世界選手権がアメリカのシカゴで開催された。当時はアマチュア選手だけが参加可能で、主催団体はUCIではなく、その前身ICA(International Cycling Association)だった。
競われたのは以下の3種目。
スプリント(200m)
10km
モーターペース(Motor-paced)
モーターペースとは先導する原動付二輪の後ろを走り、一定の距離の速さ、または1時間の走行距離を競うレース。ケイリンのペーサーと違い、1選手につき1台が先導し、同じ原動付二輪と選手の1組でレース開始から終了まで走りきるものだ。
主に以上の3種目から構成される世界選手権が毎年開催され、1900年にUCIが設立された後、当連盟が実施するトラック世界選手権において徐々にその種目数が増えていった。
次回:【2/5】12時間耐久レース!? オリンピック初頭の正式種目/UCI世界選手権・オリンピック史を振り返る
出典・参考:オリンピック公式サイト、 UCI、 PPYCC、British Cycling、Bike Cult Book Track Racing Champions、The Bike Comes First、Cycling weekly