コーチ陣が全日本選手権を総括

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「若手から刺激を受けたはず」ブノワ・ベトゥ短距離ヘッドコーチ

Q:新田祐大選手ですが、最終日の1kmタイムトライアルで日本記録を更新することは出来ませんでした。そのことについては?

これまでの日本記録は標高が高い場所で出したタイムなので、もし新田が同じような場所で今日走っていれば、58秒位は出せたのではないかと思います。

もっと暖かい時期に行っていれば、ここ前橋で1分1秒は切れたでしょうし、今回のタイムに関して文句はありません。新田は4年前に比べると大きく成長しています。

オリンピックの延期で一度はモチベーションを失いましたが、そこから立ち直り、一生懸命トレーニングを行ってきました。チームの中でもトレーニングに真面目に取り組んでいる一人です。そしてここで述べておきたいのは、新田は1kmタイムトライアルの準備を全くしてこなかったということです。練習でも何も行ってきませんでした。ですからこのタイムは彼自身のベストタイムではあるものの、まだまだ伸ばせると思います。

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Q:改めて3人の五輪代表内定選手について感想をお願いします。

小林優香は皆さんが期待していたような成績ではありませんでした。ただ、辛い時期を乗り越えて今に至っています。今回は上手く彼女の武器を出せたとは思います。女子の選手の人数が増えたので、今後は更に彼女を強化できると思っています。

脇本雄太に関してですが、スプリントの予選タイムは良かったと思いますが、対戦は成績が振るわずでしたね。ケイリンの決勝は本人が既に皆さんに伝えていると思いますが、仕掛けるタイミングが良くありませんでした。ですが、良い走りをしていた時もありました。彼の今年の大きな目標はKEIRINグランプリで優勝することです。全日本選手権へ力を入れていない訳ではありませんが、目的はグランプリで勝つことです。

新田祐大についてはスプリントでミスが見られました。だた全体的にみるとタイムは良かったですし、1kmタイムトライアルでもわかったことですが、走りのレベルが上がってきています。

これは脇本に対しても新田に対しても言えることですが、若手の選手たちのタイムが上がってきたことにより、オリンピック代表内定選手たちの成長にも繋がります。2人とも今回の大会で刺激をたくさん受けたでしょうし、チーム内での競争も激しいので、更なるレベルアップに期待をしています。

Q:若手Bチームの走りは?

1人1人だとコメントが長くなってしまいますが、1人だけピックアップするとしたら山﨑賢人でしょう。

競輪学校(現日本競輪選手養成所)の時から見ていて、その時から全日本の表彰台に乗るだろうと期待を持っていました。今回は成長した姿を見せてくれましたね。

Q:ナショナルチーム以外で気になった選手は?

村田祐樹選手(富山県自転車競技連盟)ですね。少し気になっていました。名前を挙げるとしたら彼です。

Q:選手たちのハンドル、フォームなどが変わっていましたが?

オリンピックの延期に伴ってフォームの調整やハンドルを変更するような時間が出来たので、いろいろと調整してきました。まだ完成とは言えない段階です。

Q:実際にどのようなことを?

全てを語ることは出来ませんが、過去に風洞実験を何度か行っています。あとは伊豆で似たようなことを行ってもいます。ただしフォームやハンドルを変えても、選手には適用時間が必要です。脇本は既に新たなフォームで走れていますが、新田は出来ている時もあれば、そうでない時もあります。まだ時間があるので、この点に関しては心配はしていませんがね。

Q:チーム内でセレクション、入れ替えなどの検討は?

11月11日に会議を行い、今大会の結果やこれまでの成長なども踏まえていろいろ考えたいと思います。

Q:深谷知広選手のケイリン優勝には驚きましたか?

深谷の勝利については特に驚きはありませんでした。彼がナショナルチームに来てから、彼ならばケイリンでも素晴らしい成績を残せるとずっと思っていました。ただ、深谷がスプリントに集中することを選んでいただけです。今回の優勝をきっかけに新しい目的や世界が見えてくればと思っています。

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Q:脚の脱毛が勝因だと深谷選手が何度も言っていましたが、ブノワコーチはどう思いますか?

冗談ですか?(日本語)彼がそう思うならそうかもしれません(笑)もしかしたら脱毛時に伴った痛みが脚の痛みを忘れさせてくれるのかもしれませんね(笑)

確実な成長を

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