若手から刺激を受けたはず

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「確実な成長を」クレイグ・グリフィン中長距離ヘッドコーチ

  Q:久しぶりの大会を終えて、感想は?

まずはホっとしました。そしてここまでの道のりは長かったですね。アスリートにとってこんなに長い間、大会が無かったのは初めてではないでしょうか。

ここまで様々な不安、時間を過ごしてきた中でのレースでした。選手たちがどこまで成長しているのか、どの立ち位置にいるのかはレースの中でしかわかりません。そのような中でコーチとしては緊張しながらレースを観ていました。

Q:梶原悠未選手、橋本英也選手については?

全体的に進歩したことが感じられます。トレーニングでの成長、タイムの伸びはわかっていましたが、精神的にも肉体的にも成長している部分が見られました。

Q:世界選手権のあと、梶原は戦略、橋本は肉体的に成長が必要だとおっしゃっていました。その点については?

橋本にとっては厳しい半年でした。国内のロードレースが中止となり、満足なトレーニングが行えなかったからです。

橋本にとってロードを走ることは身体能力を上げることに繋がります。ただ、ここ数週間はトレーニングが行えていましたので、それが今回の結果に繋がったとは思います。

梶原についてはレベルアップを図って欲しかった戦術の基礎的な部分、彼女に気付いて欲しかった部分などがありましたが、レース内でそれらが改善されていることを彼女自身が証明してくれました。

Q:女子マディソンについては?

残念ですが出場チーム数が少なすぎました。ですからレース内での技術的向上は難しかったです。基礎的な部分が出来ていたことは認めますが、それらを18チームがいる中で行えるかどうか、それが大事ですね。

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Q:梶原、橋本両名がオリンピックでメダルを獲るためには?

最も大事なのは健康状態を良好に保つことです。毎日選手たちの限界を超えるようなトレーニングを行うと、怪我のリスクが上がってしまいます。選手たちを健康に保つためには、周りのサポートや計画的なプログラムが必要となります。選手たちの健康面が良好に保てれば、継続的に良いトレーニングを行うことができ、そして確実な成長に繋がります。

梶原に関しては今のままトレーニングを積んでいけば、メダルは獲得出来ると思います。橋本に関してはこのまま成長を続けていけばメダル獲得の可能性があります。

Q:次の世代の中長距離の選手層が薄いと見られますが、これからチームに呼べそうな選手はいましたか?

はい。10人か11人の選手たちを来週のキャンプに招いて能力を試したいと思います。今のナショナルチームのメンバーも素晴らしいのですが、我々の仕事はその人材を絶やさないことでもあり、新たなメンバーを入れ続けることで刺激を与え続けることでもあります。

Q:世界では男子はロード世界選手権のチャンピオンやワールドツアーチームに所属する選手たちがトラックで走り、メダルを狙ってきます。やはりそういった選手たちは別格だと思いますか?

橋本はロードの個人タイムトライアルやジロ・デ・イタリアのステージで優勝出来るような選手ではありません。ただ、オムニアムに関して述べるならば彼は特殊な選手です。戦術、スピード、パワー、全てが必要な種目がオムニアムです。たとえ橋本がロードで彼らと戦えなくても、オムニアムでは勝てる。そのような要素を高めていくべきだと思います。一番肉体的に優れた選手が勝つのではなく、1番技術があり、1番戦術に優れた選手が勝ちます。

その上で、もちろんフィジカルも必要になるので、国内に限らずどんどんと世界レベルのレースに参加していくつもりです。現状日本のロードレースはレベルが高いとは言えません。ですから、ロードの選手を強くするためにも、トラックの選手を強くするためにも、まずは日本のロードレースの質を高めていきたいとは思っています。