マンチェスターでの大大大盛況のトラックワールドカップ第2戦が終わり、第1戦同様、今後の試合がどうなるのか、そしてマンチェスター大会を総括する。
レースと観客のシンフォニー
まず大会全体の感想として「やはりイギリス」といった部分を記す。
3,300人が入れる会場は金曜日こそ埋まらなかったものの、土日は満員御礼。きっちりと大会運営を行い、スムーズな進行や厳重なセキュリティーが印象的。そして何と言ってもレースと、その見方を知っている観客のシンフォニーが、世界で最もトラック競技を楽しめる空間を作り出していた。
子連れの観客も多く、ルールや見方を知っている親から子へと自転車文化が継承されていくのだろう。日本もこうなってもらいたいと心の底から感じた。
特別なラウンジサービス“キロクラブ”
欧州でしか行っていない、会場のインフィールド内に設けられたラウンジサービスも特徴的だった。これは観客席ではなく、インフィールド内に観客用のスペース“キロクラブ”を設け、お酒やビュッフェを提供し、お客さんに特別な空間を提供するものだ。
目の前で繰り広げられる迫力満載のレース、手を伸ばせば触ることすら可能なほど選手の近くに寄ることができる。
大会終了時には酔っ払ってレースを観ていないお客さんもちらほら居たようだが、それも含めて「あり」だろう。集客が見込める運営と、普段とは違うアングルで競技を観ることができる観客、どちらにとってもありがたいサービスだ。
このチケットは時間により金額が異なるが49~79ポンド(日本円でおよそ7,500円~12,000円)で販売していた。大会主催者であるBritish Cyclingによると、このラウンジチケットは完売したとのこと。やはり人気の高さが伺える。
サッカー人気への羨望
マンチェスターはイギリス自転車連盟の総本山。この会場にはトラック競技場、通称ベロドロームだけでなく、インドアBMXの会場、そして近郊にはMTB(マウンテンバイク)のコースもあるなど、とにかく全てが揃っている。
来年にはベロドロームの改修工事を始めるとのことで、更に素晴らしい施設となる予定。これからもマンチェスターがイギリスの自転車競技の心臓として動いていくことは間違いないようだ。
ただ、大成功を収めているBritish Cyclingですら悩みはあるそう。
隣にあるETIHAD STADIUMを羨ましそうに見つめながら
「どんなに活躍しても街で自転車選手が人々に気づいてもらえることはなかなか無いのですよ。今のところ有名なのは、クリス・ホイ、クリストファー・フルーム、ブラッドリー・ウィギンズくらいではないでしょうか?サッカーならばマンチェスターユナイテッドでもシティーでも出場している選手は街に出れば皆スター扱いなのですが・・・・・」
と話すあたり、この競技や選手の認知度拡大の難しさを物語っている。