チームスプリントにおける日本記録の更新に、2戦連続となるワールドカップでの金メダル獲得。成長著しい日本ナショナルチーム男子短距離の活躍に、世界中のファンが熱い視線を注いでいる。
我々日本のファンが「勝って当たり前」とすら期待しまうような、圧倒的な進化を遂げた男子短距離勢。しかしこの記録を出すまでに、並大抵ではない高いハードルを越えてきている。この勝利が如何に凄い事なのか、日本新記録がどれほどの賞賛されるべきタイムなのか・・・
本記事では男子チームスプリント日本代表は「何」を成し遂げたのか、わかりやすく紐解いてゆく。
世界選手権メダル獲得レベル?42秒790
「42秒790」・・・これはワールドカップ第4戦、男子チームスプリント決勝にて1走:雨谷一樹、2走:新田祐大、3走:深谷知広の3人が記録した、2020年1月現在の日本記録だ。
【詳報】日本16年ぶり金、1日に2度の日本記録更新/男子チームスプリント(雨谷一樹/新田祐大/深谷知広)2019-2020トラックワールドカップ第4戦ニュージーランド
それまでの日本記録は2013年に記録された「43秒092」。直近の国際大会では44秒台の記録に留まることも多く、復活の糸口を見つける事が出来ない日々が続いていた。
参考まで、に2018年と2019年の世界選手権チームスプリント1回戦における上位3カ国と日本のタイムを比較してみよう。
1回戦順位 | 国名 | タイム |
---|---|---|
2019年 | ||
1位 | オランダ | 42秒436 |
2位 | フランス | 43秒086 |
3位 | ドイツ | 43秒266 |
日本(予選10位) | 44秒260 | |
2018年 | ||
1位 | オランダ | 43秒234 |
2位 | イギリス | 43秒434 |
3位 | ロシア | 43秒557 |
日本(予選7位) | 44秒240 |
日本記録「42秒790」を上記に照らし合わせると、2018年では1位、2019年では2位に当たるタイムとなる。もちろんバンクの違いによるタイムの出やすさの違いがあるため、直接の比較を行うのはナンセンスだ。しかし日本代表が「42秒台の世界」へ足を踏み入れた、その一歩の大きさが伝わるだろうか。