「全てに意味がある」と信じられる

Q:最初はかなり辛い練習を成果も出ないまま続けていましたよね?

それはもう嫌でしたね(笑)。何でこんな練習をしているのかって思っていました。マイアミの合宿もそうでしたね。でも思い返すと帰ってきた時には強くなっているんです。ですから最終的にはコーチのことを信用して、ちゃんと行えるかどうかだと思います。単純に真面目にやれるモチベーションを持つきっかけを作れれば良いんです。人によってはそれが出来ない人もいるとは思いますけど。

Q:やりきった人にしか言えないセリフではないでしょうか?

よく他の競輪選手に言われるんです「どうやったらそんなに強くなれるのか?」と。聞かれるのは当たり前だと思います。でもやっていることは普通なんです。苦しい練習をしているのは皆が知っているし、誰もが知っている練習方法で違う物が何かあるかと言われたら、そこの精神的なところです。

Q:やはり自分なんですね。でもその追い込める環境も大事だと思いますが?

追い込める環境があることも大事だし、尚且つやりきることに対するメンタルが大事だと思います。

Q:苦しい時に考えることなどはありますか?

僕は乗り越えた後のことを考えますね。これを乗り越えた時に強くなっていると。一番分かり易い考え方だと思います。結果が付いてくることによって、一層モチベーションが上がるんです。

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Q:普段の生活でもレースのために、勝つために意識していることはありますか?

意識して行うのに慣れてしまったため、意識はしてないです。ただ平日何時間寝なければバランスが良くないとか、そういうことは考えます。

Q:つまり考えるのに慣れたということ?

以前は食事の時間や体重制限、栄養摂取の仕方はこうだという勉強をしたので、理想に近づけなければと思って厳しく自分を管理していました。ただ、それを行うことでストレスになり練習に集中出来ない時があったりしたので、そこは慣れたのかなと思います。あまり厳しい生活をするというよりは少し緩く考えるようになった感じです。

Q:切り詰め過ぎないというか、塩梅がわかってきたと?

そうですね。合宿を経験して、ということもあります。

Q:合宿はそういった意味でも効果があると?

皆が僕と違うやり方や生活の仕方をしているので、僕のやり方が答えじゃないんだということを思い知らされた感じはあります。生活の1つ1つに対して自分が出した答えが正解なのかな?ということを思い始めたのが合宿ですね。俺はこれが食べたいとかは通用しないし、最初はストレスしか溜まらなかったですが。

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Q:他の国もやっていますが、共同生活を行うメリットがあるということですね?

ありますね。そうでなければ共同生活をしないと思います。

Q:なんか腹に落ちますねぇ・・・

こういうことって、分かると「おお~っ」てなるんですよ(笑)だからブノワコーチのやっていることは凄いと思えるんです。

Q:では今回のワールドカップへの出場が少ないことなどは意味があることだと信じられると?

コーチが言うことに無駄なことは無いと僕は信じています。どれだけブノワコーチが言ったことに対して自分が信じて実行できるのかです。他の人にしてみれば疑問だらけで難しい部分もあるかもしれません。委ねるというのは言いすぎかもしれないですが、僕はそのつもりでやっています。

Q:ブノワコーチの日本人最初の教え子になりますよね?

僕はそういう風に考えています。それ位僕は彼に育てられてきました。東京オリンピックが自分の人生の中のラストチャンスだと思っていて、その中でコーチがひとつでも希望を見せてくれるなら信じたいというか、そんな気持ちもあります。

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