「応用問題」に対応できるようになった昨シーズン

Q:昨シーズンは違った脇本雄太を観ることが出来ました。その辺りの手応えは?

手応えもありましたし、自分の中で糧になった部分もあります。それは見た目で分かる形ではなくて、考え方のようなものが・・・・ちょっとこう広くなったというか。

Final for Gold / Men Sprint/ ASIAN TRACK CHAMPIONSHIPS 2020

以前は「この選手が強いからマークしよう」とか思っていたのですが、より全体的に見れるようになりました。一人を見るのか、全体を見るのか、その差が出てきましたね。例えば1人に集中していると他が動いてきた時に対応出来ず、負けてしまう。そのようなことが何回かあったのですが、今では周りが見えているため、そのようなことが無くなりました。

Q:つまりレースの中での視野が広がったということでしょうか?

視野は広がりましたし、自転車に乗っている最中のレースのIQが上がったということだと思います。単純に問題に対しての回答が速くなりましたし、柔軟になりました。今までだったらこのパターンはこう、このパターンはこうと硬い考え方しかなかったですが、レースを続けていくことによって応用問題が出てもサっと答えられるようになった感じです。

Q:レースを見ていてもそれは分かりますが、何故昨シーズンだけそのような発見というか、伸びというか、成長があったのでしょうか?

それはメンタル面だと思います。身体的なトレーニングも大事ですが、選手にとって身体的トレーニングと同等にメンタルトレーニングも大事なのだと思い始めているところです。まだ完全ではありませんが、昨シーズンにその辺りを掴み始めたと思います。

Q:ではそのメンタル面のトレーニングで実際に今やっていることは?

レースの時以外にも、自分がレースにいる時のことを考えるようになりました。

Q:つまりレースの時の緊張感を保つと?

緊張感を持ち過ぎても良くないので適度に保つようにしました。ウォーミングアップ1つにしても、何かしらの目的意識を持ってやっています。ただの周回練習でも、前の選手のギリギリのところに並んでみて、立ち遅れないようにするにはこうしたら良いとか。

「全てに意味がある」と信じられる