7月3日~5日、青森競輪場で実施された『競輪ワールドシリーズ2026』。海外からの招へい選手を招くレースが復活してから3回目の開催となった。女子の決勝には初日、2日目と強さを見せたエレセ・アンドルーズ(ニュージーランド)、ヘティ・ファンデルワウ(オランダ)が順当に勝ち上がり、競輪ワールドシリーズ開幕戦で優勝したアンドルーズが再び優勝を遂げる結果を残した。

一方の男子は2日目の準決勝でマシュー・リチャードソン(イギリス)が中野慎詞(岩手)との壮絶な先頭争いを繰り広げて3着。決勝進出を逃し、最終日は2着という結果。そしてジョセフ・トゥルーマン(イギリス)はブロックに苦しむ展開で準決勝は4着、最終日は2着と、イギリス勢の2人は共に決勝に進出できずに終わった。

この記事では男子のまとめとして、選手たちのコメントから青森開催のレースを辿る。

中野慎詞vsマシュー・リチャードソン 壮絶なバトルとなった準決勝

この開催のハイライトとなったレースは中野vsリチャードソンが顔をそろえた2日目の準決勝。リチャードソンと中野が2つのラインの先頭になると、熾烈な争いを繰り広げる形となった。まず残り2周でリチャードソンが先頭に出ると、残り1周半で中野が仕掛けていく。中野のスピードにピッタリと合わせる形でリチャードソンが前を譲らず残り1周へ。

一旦リチャードソンの後輪に下がった中野は再び加速していくが、再び中野とのスピードを合わせるリチャードソン。大盛り上がりの場内となったが、最後は中野が切り替えて、リチャードソンとラインを組んでいた2番手の真鍋智宏がいた位置を残り半周で奪う形。最終的には三度目の攻撃を仕掛けた中野がリチャードソンを差して先着した。そして中野がラインを組んでいた同地区の照井拓成が2着、リチャードソンは3着で決勝進出を逃す結果となった。

激しい先頭争いのレース動画は1度見ていただきたい。観客からは「やばっ!凄っ!」「中野もリチャードソンも強い!」「こんなレース観たことない」などの声があがり、会場を魅了するレースとなった。

中野に仕掛けるチャンスを与えてしまった

リチャードソンは「最後の1周に入る時も中野選手を自分の横に居させるべきでしたが、落ち着きを失ってしまって全力でペダルを踏み続けてしまいました。そこが中野選手に最後に仕掛けるチャンスを与えてしまったと思います。いつも行っている自転車競技のケイリンと今の競輪の異なる部分はスピードの乗り方と言いますか、踏み直しが効かないところと感じています。日本の競輪では一瞬でも誰かに邪魔をされたり、自分でバックペダル(ブレーキ)をすると、元のスピードを得るまでに信じられないほどの労力が掛かります。その辺りが今後の課題です。小倉でのレースと今回のレースでいろいろと試していますが、少しづつ改善できていると感じています」とコメントを残した。

泥臭いレース 日本で勝つのは難しいこと

中野は「(2日目のレースでは)先行選手としての争いには負けました。でも最初に踏み込んでいった時にリチャードソンにスピードを合わされましたが負けたくない気持ちが強く、次は位置を獲っていくぞという泥臭いレースをしました。日本のレースでは簡単には勝てないという部分を見せれたと思います。そして世界最速のスピードを持ってしても、日本の競輪では勝つことが難しいということを世界に発信できたとも思います」と語った。

※写真は2025年末の物

自分のラインで勝つことができたのは嬉しいこと

トゥルーマンは最終レースで2着。先行したが、最後はラインを組んでいた木村隆弘(徳島)に差されて今開催を終えた。「自分のラインでレースに勝利することができたのは嬉しいこと。和歌山のG3に向けて更に良くしていきたいです。そして7年前は同じレースを繰り返していましたが、今は毎レースの展開が異なります。毎レースが新しい発見のため、今後への経験を積み、その都度の最適解を見つけていきたいです」と様々な模索が自分の中であることを語った。

更に和歌山のG3に向けて「今は7車でのレースですが、9車のレースの方が、自分だけに他の人からの注目が集まることはなく、様々なアクションがレースの中で起こるので、9車が楽しみです」と、レースが複雑になればチャンスが増えることにも言及。レース形態が変わることでトゥルーマンがどこまで対応できるのかに期待が掛かる。

次戦は伊東温泉競輪(7月10日~12日)

今開催は世界王者ハリー・ラブレイセンが居なかったものの、まだまだ日本の競輪に適応することに課題を残す海外選手たち。しかしこの開催での中野慎詞との戦いなど、間違いなく今の競輪を盛り上げてくれる1つのピースでもある。次の開催は伊東(7月10日~12日)。太田海也、松浦悠士、深谷知広などが出場予定。もちろんリチャードソンもトゥルーマンもエントリーしているため、強豪との激突が期待される。

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「競輪ワールドシリーズ」とは?

1982年より「国際競輪」としてスタート、2009年より「短期登録制度」として行われていた外国人選手招聘レース。新型コロナウイルス感染症の影響などもあり2020年度以降中断されていたが、7年の時を経て復活する。

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