「アルカンシェル」を着るということ
Q:作戦について指示をせず、佐藤選手自身に判断を任せたのは今回が初めて?
普段は、私が「こうすべきだ」と考えることを指示します。しかし、局面によっては本能や感覚で動き、その場で何が起きているかを理解して判断する必要があります。
特にケイリン準決勝では、名を連ねた選手の中で彼女の強さは際立っていました。それに彼女はアルカンシェルを着ています。
つまり、周りの選手は皆、彼女を見て動くことになります。
待つ。
そうするとレースのペースは非常に遅くなるので、水菜はさらに早いタイミングで動きだす必要があります。判断と動き出すタイミングが早くなれば、トラブルも避けられるはずです。
タイミングを逃し遅くまで待ってしまうと、いざ動こうとしたときに混戦に巻き込まれてしまいます。今大会では実際にそうしたことが起き、決勝に進むことができませんでした。
ただ、彼女自身もその点には気づいていましたし、理解もしています。大事なのは、その状況を感じたときに瞬時に行動できるかどうかです。
レースが終わってから「しまった、ああすれば良かった」と振り返るだけでは意味がありません。その瞬間に感じて動けるようになることが重要です。
だから今回の大会で「こういう状況になったら、こう動く」という経験を積んだことが今後に活きてくると思います。
「ネガティブな経験の方が大きな学びに」
スプリントでも、まだ多くのことを学んでいる段階です。序盤は少し消極的な部分がありました。
私としては、今回すべてが狙い通りだった訳ではありませんが、ここに来た目的は“学びを得ること”でした。ポジティブな出来事よりもネガティブな出来事の方が多かったかもしれませんが、そこから多くを学べるはずです。むしろ、そうしたネガティブな経験の方が大きな学びになることもあります。

『2025ネーションズカップ』女子ケイリン
実際、2025シーズンも同じようなことがありました。ネーションズカップで決勝をうまく走れず、結果も良くありませんでした。

『2025ネーションズカップ』女子ケイリン
でもその後、「こういう状況ではこうなる」という学びを得ました。今回のケースは少し違いますが、競技から離れていると感覚が鈍ってしまうことがあります。彼女自身、レースが好きなので、今年は多くレースに出場する予定ですので、世界選手権に向けてどんどん良くなっていきますよ。
重要なのは実戦経験をどれだけ積めるか
伊豆でのトレーニングでは、男子選手たちと一緒に走って負荷をかけていますが、それはまた別の刺激です。自分より速い選手を追いかけるのは良いトレーニングになりますが、レース特有の感覚とは違います。やはり実際のレースで、その感覚を取り戻す必要があります。
今回のポジティブな点としては、依然として良いスピードを出せていることです。
7-12位決定戦では大きなミスもありましたが、その後のスピードを見るとコンディション自体は良い状態です。
これまで積み上げてきたもののおかげで、彼女は本当に速い選手になってきています。ただ、準備段階なので、一気に加速する鋭さが少し足りませんでした。判断力も少し鈍っていました。でもそれは必要な経験です。

(中央)苑丽颖 ユアン・リイン
この後はアジア選手権がありますし、中国やマレーシアなど強い国も出場してきます。まだ多くの国との競争が続きますが、大会ごとに学んでいければ、それは良いことです。
そして香港での「ワールドカップ第2戦」は、全員が良い状態でレースに臨み、正しい判断ができるようになっていれば、結果につながるチャンスも生まれると思います。今回の経験から学べるかどうかが鍵ですね。
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