「山﨑イズム」の継承者は……?
Q:先輩たちから受け継いだバトンを、後の世代に繋いでいかなくてはならない、という思いもあったのではないでしょうか?
「一歩前進させることはできた」とは思っています。
アルカンシェルという結果を残すことができましたが、練習では、僕よりもみんなのほうが全然強い。
メダルを取る力は持っていることを、僕が身をもって証明できたというか、僕がアルカンシェルを着ることができたなら、自分たちもできるって思ってくれていると思うんです。ここから、さらにまた一歩、皆が日本のチームを進めてくれるんじゃないかと期待しています。
Q:「山﨑イズム」は、この選手が継承する、というのはありますか?
髪の毛で言うと、中石(湊)ですね(笑)。中石はナショナルチームに入る前から知っていて、僕と海也でカブトムシ採集に連れていったり(笑)、長い間関わってきました。やってくれるんじゃないか、という期待はあります。
Q:やはり、アフロの継承なんですね。
今後、ナショナルチームでアフロにしたい人がいたら、僕か中石に許可を取ってもらえれば(笑)。
あと、個人的にポテンシャルがありそうだなと思っているのは選手もいます。名前は敢えて挙げません。理性が強すぎるというか、頭で考えすぎてしまって、自分で蓋をしてしまっているようなところがあるように思います。自分と似ているように感じます。
Q:リミッターを外すようなことが必要、ということですか?
まさに、その通りです。どこかで、やっぱり超えないといけない。
Q:山﨑選手に関しては、浮き沈みが激しかった印象もありますが、あらためてキャリアを振り返ると、日本でも、アジアでも、世界でもケイリンのチャンピオンになっています。勝たなければいけないところで、しっかりと結果を出してきたイメージがあります。
そこは、性格かもしれないですね。追い込まれないと力を発揮できないというか(笑)。
人生の中でいちばん濃い7年間
Q:競技をやってきたからこそ、得られたこと、感じられたことはありますか?
応援してくれる人の存在を、より近くに感じられたと思います。そういった応援が、本当に力になりました。もちろん競輪でも声援はいただけるのですが、競技において感じる声援は、少し違う種類のものだった気がしますね。自分たちが挑んでいるものに対して、より純粋に応援してもらえているような感覚がありました。
Q:競技をやって、良かったと思いますか?
良かったです。競輪選手だけをやっていたら味わえなかったこともたくさんありますし、人生がより豊かになりました。間違いなく、この7年間は人生の中でいちばん濃い時間でした。
ナショナルチームとして活動した時間だけを見れば、それほど長くないかもしれませんが、良いトレーニングができるように考えて、ずっと生活していた。24時間、自転車のことをずっと考えていましたね。
九州を盛り上げていきたい
Q:今後、競技としての選手ではなく、競輪選手として一本化して生きていくことになります。現在の予定は?
2月からは、長崎を拠点に生活するつもりです。
Q:九州の若手を育成していかなきゃ、という思いもありますか?
ひとまずは、自分で頑張ってタイトルを取りたいというのが一番です。
でも、九州のみんなで頑張ろう、という環境は作っていきたいなと思いますね。
Q:福井で頑張っている脇本選手のような?
そうですね。競輪選手を目指しているアマチュアの方の面倒を見たりとか。何か、九州を盛り上げられればとは思います。
Q:狙っているタイトルはありますか?
そもそも、まだ1個も取ってないんで(笑)。
欲張らずに、どれか取れればな、とは思っています。
生涯、アフロです
Q:競輪に集中することへのワクワク感はありますか?
もちろん、自分でメニューも組まないといけないですし、大変なことも多いですが、その分やりたいこともできる。楽しみですね。
Q:練習メニューは、やっぱりナショナルチームでの経験が活きてくるのでしょうか?
そうですね。でも、より競輪に繋がるように、考えてやっていかないといけないなと思います。
Q:ナショナルチームからは離れますが、全日本選手権などに出場する予定はありますか?
出たい気持ちはありますよ。地区プロとか、全プロで競技を走ることもありますしね。でも、しっかりと地に足をつけて、目の前のことに集中して、ひとつずつやっていくつもりです。
僕には、それが合っていると思います。
Q:アフロは続けていきますよね?
もちろん。生涯、アフロです。
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