ケイリンの現世界チャンピオン、山﨑賢人。初のアルカンシェルを着ての国内レースとなった『ジャパントラックカップ』では、ケイリンで1着でフィニッシュラインを超えたが、まさかの降格という結果となった。

『全日本選手権トラック』が目前に迫ったいま、世界王者は何を思うのか。そして、“リトルアフロ”と対話するというレース前のルーティンやレース中の思考について話を聞いた。

あらためて、アルカンシェルを着て走る姿を

Q:『全日本選手権トラック』は、山﨑選手にとってはどのような位置付けの大会になりますか?

普段一緒に練習しているナショナルチームのメンバーが多数出場しますが、当然レースになればそれぞれが全力で勝ちにくる。中石(湊)とか市田(龍生都)とか、Bチームの選手たちもどんどん力つけているので、今年はさらにレベルが上がって激しいレースになるんじゃないかとワクワクしています。

そのなかで自分も全力を出し切る、これだけですね。

Q:『世界選手権トラック』に関しては世界王者としてケイリンの出場権を手にしていますが、チャンピオンという立場としては日本での大会は負けられないですよね?

もちろん、しっかりと優勝を目指していきます。
『ジャパントラックカップ』は、決勝で降格という不甲斐ない結果となってしまいました。今回は綺麗にしっかりと勝ち切って、アルカンシェル姿をあらためてお披露目できたらと思います。

沸きに沸いたJAPAN TRACK CUPの決勝。しかしこの後に降格処分が下された

Q:一方で、スプリントは世界選手権に向けて枠の取り合いがあります。

大会に出場するからには狙っていきたいです。とにかく予選で良いタイムを出さないと、勝負できる位置まで勝ち上がるのも困難になってしまう。予選から1本1本集中していきます。

Q:200mFTTのベストは、今年トルコで行われた『ネーションズカップ』での9秒592。少し前だとそれでもすごい速いタイムだったのですが、今はもっと上げていきたいところですよね。

いろいろな視点から、どうやったらタイムが上がるかを試してはいるのですが、今のところ良い感覚は掴めてはいないですね。もうちょっと、という感じはあるのですが……。

メンバーみんなが同じ方向を見ている

Q:山﨑選手ももう32歳。フィジカルの部分で年齢を感じることはありますか?

短距離ナショナルチームでは最年長です。練習の疲れが残ることはたまにありますが、良い練習ができています。しっかりと追い込めているからだろうな、と思っています。

Q:短距離チーム最年長として、リーダーシップを発揮していますか?

いえ、全然発揮してないです(笑)。それぞれが高い意識を持ってやっているので。

Q:必要とされれば、元バレー部キャプテンとしてのキャプテンシーを披露する?

そうですね(笑)。
でもいまは、メンバーみんなが同じ方向を向けていますし、リーダーシップを取る必要ないのかなと思います。逆に言えば、この環境でダラけてしまうような選手は、この場所に居てはいけないですからね。

ちょっちゅ引き寄せられている

Q:年齢の話をしたのでお聞きしますが、競技生活の残り時間、ということは考えますか?

僕はボクシングを良く見るのですが、つい先日、ミニマム級とライトフライ級の2階級制覇を達成したチャンピオンである京口紘人さんが引退したんです。僕よりもひとつ年下なのですが、そういう歳なんだな、とは思います。ただ、僕はこれからも、チャンピオンを目指して頑張っていきます。

Q:その髪型は具志堅さんを彷彿とさせますし、頑張っていただきたいです。

特段意識はしてないのですが、髭を生やしたことで寄っていっていますね(笑)。
ちょっちゅ、引き寄せられているのかもしれません。

世界王者が語る、レースへの挑み方

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